繊細に伝統の接ぎ木/久御山で「淀苗」出荷準備
繊細な手仕事で苗の接ぎ木に汗を流す

久御山町の藤和田・北川顔地区で、接(つ)ぎ木した野菜苗の出荷準備が着々と行われている。「淀苗」として全国に知られる特産品で、育苗農家が黙々と作業に励んでいる。
両地区はかつて木津川の流路で水はけの良い砂質土に恵まれ、根を伸ばしやすい苗づくりが始まった。室町時代から550年の伝統を誇る。
接ぎ木は、台木(だいぎ)と穂木(ほぎ)の2本の苗の切断面をぴたりと合わせて1本の苗にする技法。耐病性が上がり、長期的な収穫が可能となる。
北藤育苗組合長の福田和久さん(52)=北川顔=の苗場では、2月末から地元の女性たちが、カミソリを使って台木と穂木の茎を斜めにカットし、切り口を合わせてクリップなどでとめていく繊細な手仕事を続けている。
福田さんが営む福田育苗園では13日の午前、ハウス内の温度がぐんぐんと上昇する中、4人の女性がカンピョウの台木にスイカの穂木を接ぐ作業に汗を流していた。
福田さんは「ここ1週間は1カ月先ぐらいの気温。水の管理が難しい。水をやらないわけにはいかないし、やったら大きくなるし…」と、やや困惑気味。
淀苗はナス、キュウリ、トマト、トウガラシ、スイカ、メロンなど多種に渡る。出荷作業は今月20日ごろからピークに入り、来月10日ごろまでに約20万本を出荷する予定という。