文化パルク城陽で開かれたイベントで24日、心身にハンディある人やその家族が、人目を気にせずいつでも休憩できる「みどりのテント」が登場した。障害があっても地域との関わりを諦めることがないよう〝共に生きたいと想える社会の実現〟を目指している。
これは、市内で開かれるイベント開催時に、大きな音が苦手な人、人混みでパニックになってしまう人などのために、ゆっくりと休憩してもらえるよう周囲を横幕で覆い情報を遮断するテントを設置する「城陽みどりのテント事業」。再び催しに戻れるよう、ここで一度気持ちをリセットしてもらう。城陽みどりのテント実行委員会(池田憲司代表、6人)が運営する。
「2016年の秋花火の後、足が不自由な人からの『本当は行きたかった』という電話がこの事業のきっかけ」という池田代表。翌年から「来場者にやさしい秋花火を」という理念を掲げて、身障者用の駐車スペースや観覧スペース、トイレの設置などの対応を実施する中で、誰でも参加しやすいイベントモデルを作っていきたいとの思いが強まり、2019年12月「みどりのテント」が発案された。これまでに障害者支援事業所などの協力を得て、市とも相談しながら実施に向けた活動を展開してきた。
この日は、文パルで「五里2ピクニック」が開催。会場の文パルと、このイベントを主催する「五里2のさと手づくりの会」が同事業の趣旨に賛同。実行委員会が文パルからテントを無償で借用し、テントを設置した。
発案以降、コロナ禍でイベントが次々と中止となり事業が実施できなかったが、ようやく〝デビュー〟。イベント参加者らにチラシを配り、同事業の周知を図った。当面は主催者らと連携しながら試験的に進め、いずれは「城陽の新しい当たり前」になるよう進化させたいとしている。
実行委員の一人、NPO法人ちゃれんじの小出拓代表は「実際の運営を通して課題を見つけブラッシュアップ(改善)していきたい。城陽市のお祭りは参加しやすいと思ってもらえれば。城陽市から京都府、そして日本全国で当たり前にして、(障害者と健常者との)共生社会が芽生えてほしい」と今後の活動に意欲。池田代表は「(イベント中)何かあった時は安心して駆け込んでもらえれば」とテントの利用を呼び掛けている。
京都芸術デザイン専門学校の生徒が作成した同事業のロゴマークもお披露目された。同校は城陽市とともにまちのイメージアップや情報発信に向けた事業を展開している。