宇治市五ケ庄の黄檗山萬福寺で21、22日、第65回全国煎茶道大会が行われ、各地から訪れた愛好家が、風流な茶文化に触れた。コロナ禍でここ2年は連続で中止となっており、開催は3年ぶり。
萬福寺の境内には、煎茶道の祖とされる黄檗僧・月海元昭禅師(売茶翁・ばいさおう)をまつる堂が建立されている。堂に隣接する煎茶道会館に全日本煎茶道連盟の本部があり、連盟主催で毎年5月に大会を開いてきた。
初日の21日は、午前9時から9流派が茶席を設けて来場者をもてなした。午前11時には本堂前で売茶流による献茶式が厳かに執り行われ、松村淳子・宇治市長をはじめ行政関係者や寄付者らが参席した。
同寺では、開祖・隠元禅師の350年大遠忌(おんき)にあたり、法堂(はっとう)を含めた6棟について、2018年度から屋根の傷みや破損部材を直す工事がなされた。法堂、東方丈、西方丈では創業当初のこけら葺き屋根が復元されている。
この日は、献茶式に続いて、修復工事を終えた法堂のお披露目を記念し、特別に落慶法要が営まれた。修行者を悟りに導く「上堂」の儀式では、住職による説法や問答のやり取りが行われた。
このほか、黄龍閣別館において「第36回日本煎茶工芸展」が開かれ、一般公募の作品のうち入賞・入選した煎茶道具など約80点を展示した。