6月5日は「あがたさん」。宇治神社御旅所(宇治壱番)、県神社(宇治蓮華)で神事が執り行われた。新型コロナウイルスの影響を踏まえ、宇治神社は3年連続の「居祭り」としたが、県神社は3年ぶりに梵天(ぼんてん)渡御を挙行。また、感染防止のため、今年も露店の出店は中止された。
江戸時代に始まったとされる県祭(あがたまつり)。奉書紙を束ねて球状にした梵天は神霊の依り代と言われており、深夜の渡御の際は、周囲の家々が明かりを落として迎えるため、「暗闇の奇祭」と呼ばれている。
祭りのハイライトとなる梵天渡御は、かつて宇治神社御旅所を出発し、宇治橋西詰を経て、県神社で儀式を行い、御旅所に戻ってくるルートで行われていた。
しかし、2004年以降は「県祭奉賛会」と県神社が分裂開催。今年も、それぞれが梵天をつくって奉納し、神事を執り行った。
宇治神社社務所では、同神社の氏子らで構成する「桐原会」がつくった梵天が運び込まれた本殿で、午前10時から「幣渡祭(へいとさい)」を営んだ。
同神社のご神体から御霊を移した唐櫃(からひつ)を前に、花房義久宮司が祝詞を奏上。梵天に玉串を捧げ、参列した久保田勇会長も続いた。還幸祭は12日に執り行う。
一方、県神社では午前10時から「朝御饌(あさみけ)の儀」が営まれ、午後5時からの「夕御饌(ゆうみけ)の儀」では、同神社総代や後援会「木の花会」、梵天渡御実行委員会、梵天講などの代表者らが参列。本殿で田鍬到一宮司が祝詞をあげた後、順に神前へ玉串を捧げた。
そして、午前0時から渡御の儀。
境内を周回しながら、豪快な「差し上げ」で梵天が激しく揺れたが、その中心に乗った純白の神人(しんじん)は、荒ぶる幣の守護を貫徹した。
最後は全ての灯りが落とされ、頭上での「天振り回し」も披露。厳かに奉安所へ着御された。