「大幣(たいへい)さん」の名で地元民から親しまれている、県(あがた)神社の「大幣神事」が8日、中宇治地域で繰り広げられた。コロナ禍により3年ぶりの開催。無病息災を願い大勢の見物客が詰め掛けた。
厄病退散と豊作を祈願する平安時代からの道饗祭(みちあえのまつり)として伝わる神事。同神社を起点に、県通り、宇治橋通り、本町通りを練り歩きながら、祓いの儀式に用いる「大幣」に街の厄を封じ込めていく。
午前10時、県神社境内の大幣殿で執り行われた祭事では、田鍬到一宮司による祝詞奏上の後、神社筆頭総代で大幣座の座頭を務めた入江宗輔さんが「開催を望む声を多くいただき、市民から愛されている祭りだとしみじみ感じた」と感謝の言葉を述べた。
宇治橋西詰でも神事を行った後、のぼり旗、榊(さかき)を先導に、大幣座のお供衆や騎馬神人が宇治神社御旅所前へ向かった。馬馳せの儀では、大勢の市民が見守る中、一ノ坂までの府道を人馬が往復し、沿道から拍手が送られた。
再び県神社に戻った後、街中の厄病を封じ込めた大幣を引きずりながら、12人の若衆が県通りを疾走した。
「ワッショイ」の掛け声をあげ一気に通りを駆け抜けると、宇治橋の欄干から大幣を川に投げ入れた。