感動体験へ「大麦収穫祭」/京田辺農福観地域づくり協議会

B!

京田辺ゆかりの大麦品種「ゴールデンメロン」を使ったクラフトビールづくりを―。その一歩となる「大麦収穫祭」が29日、同市大住にある管理畑で行われ、参加者の熱気に包まれた。
耕作放棄地の解消と新たな特産品づくりを目指した取り組みの一環として、地元の農業や福祉、商工関係者らで構成する京田辺農福観地域づくり協議会(岡本和雄会長)が主催。
遡ること明治時代、当時の綴喜郡普賢寺村出身の農業研究家・田宮龍太郎さんはゴールデンメロンの普及に努め、田辺でも1950年ごろまで生産し、大手ビールメーカーに卸されていたという。
希少な100粒を譲り受けた同協議会は2020年、山城就労支援事業所「さんさん山城」=同市興戸=で栽培を始め、相当数の種を手にした。
大住の畑で昨年11月に4000粒の種をまき、生育に欠かせないという麦踏みを経て、ゴールデンメロンは約1・2㍍の丈まで穂丈を伸ばし、淡い黄色に色付いた。
来秋のクラフトビール完成を目指して歩みを進める大麦の収穫。
この日朝早くから、これまでも参加してきた家族連れをはじめ、摂南大学の学生・教員らを合わせた子供から大人まで38人が気分も高らかに参集した。

■味わい深い種を再び
カマを握った親子らは約1時間半を掛けて、金色に輝く麦の穂を押さえ、丁寧に刈り取った。

ひとつの実も無駄にしないように穂を確かめた

その後、束にした穂はコンバインに掛け、早速脱穀を済ませ、貴重な実をネットに収めていった。
3900粒の種は程よく伸びた穂となり、作業を完了した参加者たちが取り囲むと総量約40㌔と伝えられ、歓声が上がった。
京都市内から弟の瑛太くん(年長児)らと参加した井川珠希さん(小学3年生)は「カマを使った刈り取りは楽しかった」、母の麻奈美さんは「種まきした麦が大きくなったのに感動した。地面に散らばった穂を集めるのを子供たちも楽しんでいた」と声を弾ませた。
ゴールデンメロンを追い求め亀岡でウイスキー工場を―と、京都先端科学大学バイオ環境学部で研究を進める篠田吉史さん(㈱Laff Maltings代表取締役)は「出来栄えはよく、収量は少ない。種ひと粒から取れる量が少なそう。昔の品種からよく頑張ってここまで増やされた。圃場面積拡大と栽培技術向上を。今の時代は種の効率化が進み、味わいは考えられていない。明治期に田宮氏がやったことを令和にも」と評しエールを送る。
同協議会は、夏にホップを収穫し、年内に試験醸造のイメージを描く。

最新の記事はこちらから