世界遺産の平等院(宇治市宇治蓮華)で、夏の風物詩「平等院蓮」が開花した。例年より早めで、見頃は来月末までの見込み。
1999年に鳳凰堂前の阿字池で発掘調査を行った際、地層中から見つかった種をもとに、市植物公園の協力を得て2年がかりで開花にこぎつけた、同所のみで咲く「平等院蓮」。
地層の年代は江戸時代後期と推測され、実に200年以上の眠りから覚めた、神秘の花。つぼみの状態では先端が紅色で、開花すると純白に変わる珍しい品種。他の蓮と混ざらないよう信楽平鉢で栽培されている。
なお、鳳凰堂の本尊・阿弥陀如来坐像の背面にある壁画「仏後壁」(国宝)にも、そっくりの蓮の花びらが描かれているという。
神居文彰住職は「今年も見事に花を咲かせた。平等院蓮は、新しい生命の象徴であり、新たな息吹を私たちに伝えてくれる清らかな花。この花に出会えることは、奇跡と言って間違いない」と話した。
境内に「平等院蓮」を含め、約15種類55鉢を展示する。庭園は午前8時30分~午後5時30分まで。拝観料(大人600円、中高生400円、小人300円)が必要。