城陽市は、2016年度から市中部地域包括支援センター=鴻の巣会館内=に認知症地域支援推進員を配置し、誰もがかかる可能性のある身近な病気(認知症)について市民理解を広めている。その一環として2日、文化パルク城陽内で同推進員は市高齢介護課、公益財団法人城陽市民余暇活動センターとの共催で、初の「こども認知症講座」を開催。次代を担う世代に認知症の人との接し方や高齢者の体の状態に近い体験を行ってもらう取り組みを行った。
認知症は、加齢による「もの忘れがひどくなった状態」や「心の病気」と混同されがちだが、その理解は誤りで脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなってしまう脳の病気のこと。誰にでも起こり得り、発症原因は主に▽アルツハイマー病▽脳血管障害▽レビー小体病の3つが挙げられる。
初期段階の発症サインとして「電気やガス、水道の消し忘れが多くなった」「置き忘れ、紛失が多くなった」「季節に合わない服装をしている」…などがあり、家族らがこれに気づいたら早急に認知症外来へ行き、専門医に相談することが推奨される。
ただ、日ごろの予防が最も大切で①バランスの良い食事②体を動かす習慣③脳を活発に使う生活④体と脳の休養⑤禁煙…が効果的との医学的見地もある。
認知症患者との接し方は▼驚かせない▼急がせない▼自尊心を傷つけないの『3つのない』を心掛けることが大切。これら患者や家族を支えるために、城陽市は市中部地域包括支援センター=鴻の巣会館内=に認知症地域支援推進員を配置。さらに、認知症サポート医と保健師、看護師、社会福祉士、介護福祉士らで認知症初期集中支援チームを編成。家族らへの支援に努めている。
今回は、次代を担う市内小学5、6年生とその保護者を対象に、認知症の人との接し方や高齢者の体の状態に近い体験をしてもらう「こども認知症講座」を初企画。まだまだコロナ感染拡大に配慮しなければならない状態が続いていることから、自由参加としたが、2日午後2時からと3時からの2回に分け、文化パルク城陽第3会議室で行われた講座には、地域福祉に興味を持つ子供たちが続々と訪れた。
会場では、認知症はどんな病気?をテーマにしたビデオ上映やクイズの後、子供たちが一人ずつ手足に重りを装着し、老眼に近い見え方となる眼鏡をかけて疑似体験を行った。参加した子供たちは、膝が上がらず歩きにくいことや老眼が悪化すると目のピントが合わず、財布から小銭を取り出しにくい高齢者の症状を知り、スーパーのレジで時間がかかるのも仕方ないことを実感。お父さんやお母さんとともに、高齢者には優しく接することの大切さを学んでいた。