今シーズンの宇治茶の取り引きに区切りを付ける「止市」が29日、城陽市寺田塚本のJA全農京都宇治茶流通センターで開かれた。今シーズンの宇治茶相場は、全茶種の総取引金額が32・7億円と、コロナ前の2019年度(31・2億円)を超える活況となり、観光需要が完全に回復していない中、高品質なお茶を求める人が多く、抹茶ブームの根強いことを印象づけた。
今季の宇治茶の取り引きは、平年並みの4月23日の「初市」でスタートした。
その後、流通センター内では「もみ茶販売会」33回、「てん茶販売会」32回の入札が行われ、地元の茶問屋ら指定業者が、新茶の品質を見極め、それぞれの茶種に値段を付けていった。
取引に参加した人からは「上級茶のほか、品質の良い安価な碾茶の2番茶が多くほしい」との声が聞かれた。
茶止市を終えた時点での総取引数量は、2番茶も含め1087・3㌧(前年度比99・5㌧増)にアップ。金額は高品質茶の高値、抹茶ブームの継続による碾茶人気が後押しする形で、取引金額も32・7億円まで回復した。
この取引金額は、コロナ前の2019年度(31・2億円)を約1・5億円上回り、昨年度(26・6億円)より4・6億円多い活況ぶりだった。
JA全農では「アフターコロナを見据えた販売戦略の構築、昨年度に続く減産、霜害など懸念された状況はなく、早期遮光・適期摘採された高品質な茶が揃った。全茶種とも堅調な取引価格だったが、特に手摘み碾茶、玉露の価格が回復。1番茶の総平均取引㌔単価は3386円と、前年比113%となった。
やや少雨、高温の影響を受けた2番茶を含めた総平均取引㌔単価も3013円と、前年比111・7%となった。
コロナ感染対策を徹底して開かれた宇治茶「止市」には、参加した指定業者30社・40人と、JA関係者、来賓を合わせた計80人が集まった。
入札販売会後の式典では、JA全農府本部の宅間敏廣本部長が挨拶、府農林水産部の水口裕一郎部長、府茶業会議所の堀井長太郎会頭、府茶生産協議会の𠮷田利一会長の来賓祝辞に続き、京都みどり会の大谷豊会長の発声による「手締め」が行われ、今季の取引に区切りを付けた。
なお、茶止市の後も8月4日(木)、10日(水)に2番茶の臨時販売会が予定されている。