トンネル式放流設備、運用開始/天ケ瀬ダム再開発事業

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国土交通省・琵琶湖河川事務所は10日、天ケ瀬ダム再開発事業として進めてきたトンネル式放流設備の運用を開始した、と発表した。最大放流能力が毎秒600㌧あり、既存のダム本体を含め、最大で洪水調節時は同1140㌧、琵琶湖後期放流時は同1500㌧に能力アップ。後期放流時の流量に関しては「天ダムへの流入量を超える放流はしない」としており、流入量が同1500㌧に達しない限り、宇治川に1500㌧の水が流れることはない。
天ケ瀬ダム再開発事業は、上流の琵琶湖周辺や下流の宇治川での浸水被害を踏まえ、洪水調節機能等を強化するもの。総事業費は約660億円をかけ、ダム左岸側に全長617㍍のトンネル式放流設備の整備を進めており、トンネルの入口は天ダム上流の鳳凰湖で、出口は天ダム下流にある白虹橋付近となる。【写真】
現在の天ケ瀬ダム本体の放流能力は、最大で洪水調節時が同840㌧(非常用ゲート除く)、下流域での洪水の危険性が去った後に琵琶湖の水位を低下させるための「後期放流」時は、宇治発電所の同60㌧が加わるため、同900㌧となっている。
トンネル式放流設備の最大能力は毎秒600㌧あるが、洪水調節時は下流域での氾濫を防ぐため、ダム本体を含めて同1140㌧をマックスとして運用。内訳は決めておらず「本体840㌧、トンネル300㌧」の時もあるし、「本体540㌧、トンネル600㌧」の時もあるという。
ただ、ダム湖の貯水能力を超える場合は、非常用のクレストゲート活用を含めて対応。同事務所は「放流時の河川、周辺のモニタリングの状況を踏まえて決める」としている。
一方、後期放流時はフルパワーの1500㌧放流が可能となるが、現在の「天ダムへの流入量を超える放流はしない」との方針を堅持。流入量が同1500㌧に達しない限り、宇治川に1500㌧の水が流れることはない。
このほか、府営水道の最大取水量が3倍の同0・9トンにアップ。負担金について府と調整しており、今後の値上げが懸念される。
また、発電容量は約1・4倍となり、関西電力への供給量が増える。

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