戦没者へ祈り捧げる/77回目の「終戦の日」
花輪を捧げた松村市長と吉川団長

77回目の「終戦の日」となった15日、山城地方の各地で平和を願う催しが開かれた。

■庁舎前で平和祈念集会/宇治
宇治市では、市役所北口の「平和エリア」で第60回市民平和祈念集会を開催。約110人が参列し、戦没者へ献花や黙とうを捧げた。
集会は市など各種団体で構成する市平和都市推進協議会(会長=松村淳子市長)が主催。「平和の像」があるエリアを会場に、市職員や議員のほか、今月長崎を訪れた小・中学生平和訪問団の児童生徒たちが出席した。
午前11時すぎ、一般市民の参列を受け付けている途中、突如強い雨に見舞われたが、約30分後に雨は止み、定刻の11時35分に集会が始まった。

平和訪問団の児童生徒たちが黙とう

主催者を代表し、松村市長は「今日私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の尊い犠牲の上に築かれたものであることを忘れてはなりません」と挨拶した。
ロシアのウクライナ侵攻など、今なお平和が脅かされる世界の現状に際し「こうした行為は断じて容認できるものではなく、一日も早く平和的解決がなされることを強く願う」と話した。
平和訪問団を代表して、岩佐和貴くん(北宇治中1年)が「この地球上に再び広島、長崎の惨禍を繰り返してはならない。そのためにあらゆる国の核兵器の廃絶と全面軍縮を全世界の人々に訴える」とする平和都市宣言文を朗読した。
続いて、松村市長と同訪問団長・吉川輝竜くん(東宇治中2年)、堀明人・市議会議長と岡田理央さん(大久保小6年)が2人1組で花輪を捧げた。
正午の「平和の鐘」と共に、参加者たちが静かに目を閉じて黙とう。戦争犠牲者の冥福と世界の恒久平和実現を祈った。

■核兵器ない平和な日々へ/久御山
久御山町は15日、役場で「平和祈念集会」を開いた。町職員や町議、住民らが戦没者の冥福を祈り、77回目の終戦記念日に平和への決意を新たにした。

平和都市宣言記念碑に向かい宣言文を朗読する信貴町長

昨年と一昨年は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小したが、今年は3年ぶりに通常規模で開催した。
役場正面玄関前の平和都市宣言記念碑前に集まった約80人の参列者は、正午のサイレンに合わせて1分間の黙とう。信貴康孝町長が平和都市宣言文を朗読した。サイレンは、防災行政無線で町内全域に吹鳴し、住民にも黙とうを呼び掛けた。
信貴町長は「終戦後77年が経過した今でも、戦争を体験した人々の心には深い悲しみが刻まれている」とし、その一方で「ロシアによるウクライナ侵攻や核兵器の使用を示唆した一連の行為は、核兵器の廃絶と恒久平和を願う人々の思いを踏みにじる行為であり、決して許されない」と非難。「こういう時こそ、真の恒久平和に向けた取り組みをさらに前進させなければならない。唯一の被爆国の国民として一日も早く核兵器のない平和な日々が来ることを強く望む」と述べた。

平和の尊さを伝える久御山町出身・阪部慎太郎さんのビオラ演奏

その後、庁舎1階では同町出身で、現在は指揮者として国内外で活躍している阪部慎太郎さんによるロビーコンサートが開かれた。阪部さんはビオラで、自らが作曲した曲やバッハのほか、涙そうそう、ハナミズキ、ふるさとなどお馴染みの曲を演奏。平和の尊さを伝える美しい音色がロビーに響き渡った。