今年の2月、府の指定文化財となった久御山町佐古の若宮八幡宮で14、15日の夜、3年ぶりとなる伝統の放生祭(千灯万灯・せんとうまんとう)があった。灯明で境内がほのかに照らし出される中、参拝者が豊作や幸福を祈った。
実りの秋の本格的な到来を前に、五穀豊穣や多幸を願い、生き物の鎮魂を祈る行事。佐古地域で代々受け継がれている。
もともとは2枚重ねのカワラケに菜種油を入れ、灯芯を浸して火をともしていた。近年は灯芯が手に入りにくくなったこともあり、ろうそくに替えて往時の息吹を伝えている。ここ2年は新型コロナの影響で中止となっている。
両日とも午後7時ごろから、地域の子供たちが両親らともに次々と足を運び、境内にしつらえられた木棚のろうそくに、火をともした。緩やかな夜風で幾度となく、ろうそくの火が消えたが、子供たちはそのたびにつけ直し、幻想的な光で境内を彩った。
また、子供たちは火がついたろうそくを手に、本殿の周囲を数え年の分だけ周回。お祈りを終えると、おやつをもらって家路についた。