久御山町は5日、まちの駅クロスピアくみやまなどが立地する南大内地区へのホテル誘致計画で合意したルートインジャパン㈱(永山泰樹代表取締役社長)=本社・東京都品川区大井=と「宿泊施設の設置に関する協定」を結んだ。両者は今後、包括的な連携・協力のもと、円滑に事業を運営し、地域産業の活性化や周辺地域の発展につなげる。町が課題に挙げる同地区の賑わいの創出に前進した。
2009年に土地区画整理事業が完了した同地区。クロスピアが立地するエリアは、隣接する大型商業施設「イオンモール久御山」の駐車場や集合住宅など、一定の土地利用は進んだものの、それ以上の進展がなかった。町は同エリアの賑わい創出策を模索する中、ビジネスホテル「ホテルルートイン」を中心とした事業を展開し、グループ全体で国内外に約330店舗のホテルを運営する同社が進出することを、町議会定例会9月会議の田口浩嗣議員による一般質問で信貴康孝町長が明かしていた。
協定書には連携・協力事項として、▽災害対策▽地元からの優先雇用▽地域の農産物などの活用▽環境への配慮▽町内産業振興に関することが盛り込まれている。具体期には、防災協定を結び、浸水時の垂直避難場所、感染者の隔離施設としてのホテル利用、新規雇用者を約80人と見込んだ地元住民の優先的な雇用、ホテル内の朝食会場や敷地内に設ける飲食店での町内産農産物、府内産食材の活用、府再生可能エネルギー導入などの促進に関する条例に基づき太陽光発電施設の設置などを行う。詳細は個別に協議し、決定していくという。
この日、町役場特別会議室で開かれた締結式では、信貴康孝町長と永山社長が協定書に署名し、協定が結ばれた。
信貴町長は「来町するメーカー技術者や周辺への観光客の需要に応える宿泊施設の立地を実現したいと強い思いを抱いてきた。今回、素晴らしいご縁をいただき、本町の発展に向けての土台作りができたことは大変心強い」と挨拶。「山城地域の北の玄関口に位置するゲートウェイとして観光、ビジネスの分野で役割を果たせる。ホテル進出を契機に、様々な出店者にも興味を示してもらえれば」と期待を込めた。
永山社長は「企業理念は『独自の道を開拓し、社会に貢献し、必要とされる企業を目指す』。新たな需要をこの町に作りたい。雇用創出、災害時の避難場所の提供など、地域への貢献なくしてホテルはない。久御山町の発展の役に立ちたい」と意気込みを語った。
ホテルの立地場所は、同地区の南東、第2京阪道路の側道に接する約6550平方㍍(約1980坪)。施設はRC造9階建て、224室(シングル166室、ツイン58室)。施設内に大浴場を併設するほか、敷地内には宿泊客以外の人も利用できる居酒屋も出店。駐車場は約170台を収容。
「ビジネスと観光」をコンセプトに掲げており、1600社を超える企業が集積する同町に設備メンテナンスで訪れるエンジニアや、お茶の京都エリア(府南部12市町村)、京都市内、大阪府や奈良県などを訪問する観光客の宿泊を見込む。通行量の多い道路沿いに立地するロードサイド型として車利用の集客を見込んでいる。
2023年当初に設計に着手し、同年春に着工。2024年夏に開業予定。