秋の夜を艶やかに彩る大住隼人舞が3年ぶりに催行―京田辺市大住池平にある月読神社で14日に市指定無形民俗文化財の伝統芸能が行われ、コロナ前と同じく約1000人の市民らの熱気にあふれた。
末永い継承を誓う大住隼人舞保存会(石坂清会長)が主催。
長引く感染禍を受け、天津神社の予定は取りやめ、月読神社のみで大住隼人舞・隼人踊りを奉納した。
隼人舞の起源は、日本書紀に登場する海幸彦と山幸彦。
溺れているところを山幸彦に助けてもらった海幸彦がその様子を舞った―のが由来。
薩摩地方(鹿児島県)に伝わる神舞は奈良時代に薩摩隼人たちが大住に移り住んで伝えられた。
その後、1971(昭和46)年に月読神社の秋祭りで500年の時を経て復活。75年に当時田辺町の無形民俗文化財第1号に指定され、保存会結成の76年に中学生舞人が誕生している。
以来、大住地域の中学生は毎年10月14日の夜、月読(西八)・天津(岡村)の両神社で舞を奉納してきた。
この夜、かがり火が幽玄の美を醸す境内に用意された舞台へ、隼人踊りを舞う女子児童6人をはじめ、衣装を新調した龍笛演奏の10人、6つの舞を順に披露する12人の小中高生が次々と登場。
舞から創作されたという隼人踊りに続いて、古式ゆかしい龍笛の演奏が加わり、お祓い・神招(かみおうぎ)・振剣(ふりつるぎ)・盾伏(たてふせ)・弓・松明の合わせて6つの舞を男子中高生2人ずつが堂々と演じてみせた。
小さなきょうだいたちをはじめ、舞台を取り囲んだ家族連れなどは児童生徒の活躍に見惚れ、秋の夜の情趣に酔いしれた。
舞う場所の不浄を清め、神々を迎えるお祓いの舞でこれまでの稽古の成果を発揮した岩本真輝(まさき)さん(大住中学校3年生)は「かつて父も舞った隼人舞を、この困難な中でも途切れさせずに継承することが出来てよかった」と充実感をあふれさせた。