9年ぶりの宇治開催 にぎわう/全国お茶まつり京都大会
大臣賞受賞者を代表して大会長賞を受けた辻喜代治さん

宇治で9年ぶりの開催となる第76回「全国お茶まつり京都大会」が19日、開幕した。同市文化センター大ホールで開かれた式典には、全国から茶業関係者が集まり、茶の需要拡大へ向け心を一つにした。中宇治地域では19、20日の両日、宇治茶の消費イベントが催され、市民や観光客でにぎわった。
開幕初日の午前10時30分から始まった式典では、実行委員長の堀井長太郎・府茶業会議所会頭が挨拶。「敷居が高く思われがちな宇治茶のイメージを変える第一歩として、多彩なプログラムを展開する。魅力発信イベントと合わせて、美しい風景やお茶屋さん巡りなど、宇治市内の街歩きを楽しんで」と呼び掛けた。
大会長の西脇隆俊府知事は「近年ではお茶の健康機能性に関する研究が進み、世界的にもますます日本茶に注目が集まっている。伝統を大切にしながらも、茶業界一体となって新たな時代を切り開く取り組みが重要」と述べ、宇治茶の世界文化遺産登録への期待を込めた。

産地賞1位に輝いた全国各地の代表者(中央が松村市長)

松村淳子宇治市長は「2014年に宇治市が定めた条例では、宇治茶の普及やおもてなしの心の醸成により伝統産業を守り、国内外に情報発信することで市の発展を目指している。ウィズコロナの世界にあっても、日本の茶業界全体が盛り上がっていく原動力になると信じる」と歓迎した。
来賓紹介と祝電披露に続き、今年8月に宇治茶会館で開催された、全国茶品評会の褒章授与式が行われた。碾茶の部で農林水産大臣賞を受賞した辻喜代治さん(宇治市)が、受賞者を代表して西脇知事から大会長賞を受けた。
なお、玉露の部で京田辺玉露生産組合の山下新貴さん(京田辺市)、かぶせ茶の部で大槻由美子さん(福知山市)も農水大臣賞を獲得。8茶種のうち3つで、府内産の茶が日本一の座を射止めた。
産地賞では、碾茶の部で宇治市が1位に輝き、松村市長らが表彰状と優勝旗を受け取った。また、入札販売会最多額落札者の㈱丸久小山園へは、茶業の活性化に貢献したとして感謝状が贈られた。

全国品評会の玉露を味わった参加者たち(茶づな)

最後に、新しい日本茶文化の創造など4項目からなる大会宣言文が読み上げられ、日本茶業中央会の上川陽子会長が採択した。

■「あなたの宇治茶」に出会おう/魅力発信イベント
「あなたの宇治茶に出会える日」をキャッチフレーズに、茶生産技術の向上と消費拡大に向けた「全国お茶まつり京都大会」の魅力発信イベントが、中宇治地域で行われた。

宇治の特産品ブースで抹茶の接待があった(宇治公園)

第1会場のお茶と宇治のまち歴史公園「茶づな」では、全国品評会出品茶を自分で淹れて味わうコーナーが館内に設けられ、訪れた人たちが至福の時間を過ごしていた。
茶づな前の広場には、土産物などの物販ブースが並んだ。宇治市茶業青年会によるキッチンカー形式の「抹茶カフェ」には行列ができていた。地元出身のMITSUさんは、芝生広場のステージで、本イベントの応援ソング「私の帰る場所」を披露した。

焙じ茶体験コーナー(宇治橋通り商店街の妙楽広場)

第2会場の宇治公園(塔の島、橘島)では、例年の宇治茶まつり同様、山城地域の12市町村が特産品のPRと販売を行った。宇治商工会議所のチャレンジショップも軒を連ね、足を止めてお気に入りの物を探す人の姿が見られた。