作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの1周忌にあたり、宇治市中央図書館は20日、市中央公民館で講演会を開き、約60人が参加した。
講師は、寂聴さんが名誉館長を務めていた市源氏物語ミュージアムの家塚智子館長。『寂聴先生と文学・そして宇治~源氏物語に寄せて~』をテーマに話を展開した。
家塚館長は、寂聴さんが「源氏物語は余韻の残るいい小説として有名になった。その時に描かれた山も川も、そんなに変わっていない。宇治としては財産」と何度も口にしていたことを紹介し、後世に伝えていく必要性を述べた。
また、源氏物語第一帖『桐壺』の冒頭「女御、更衣あまたさぶらひたまひける」との文章は「女御、更衣が大勢お仕えしておりました」と現代語訳されることが一般的だが、寂聴さんは「女御、更衣が賑々(にぎにぎ)しくお仕えしておりました」と訳していたことを説明。家塚館長は「寂聴先生は、大層賑やか、と分かりやすい言葉にされた。だから先生の現代語訳は読みやすい」と述べ、実際に読んでもらいたい、と呼びかけた。