プロボクシングWBC、WBAスーパー統一/ライトフライ級チャンピオン、寺地拳四朗(31)=BMB=が26日、地元後援会(石田實名誉会長、安道光二会長)の役員らとともに、久御山町役場、宇治市役所、城陽市役所、京都府庁の順で表敬訪問した。WBO同級王者との3団体統一戦が直前にキャンセルとなり、難敵の米国人ボクサーとの防衛戦に変更。思わぬ苦戦を強いられたが、それでも9回TKO勝ち。今後は、同級4団体制覇が大目標だが、拳四朗は「時間がかかるようならフライ級に上げることも考えたい」と柔軟に対応していく考えを示した。
昨年11月に京口紘人選手との日本人王者対決を制し、WBC・WBAスーパー統一/ライトフライ級王者となった拳四朗。
今月9日、東京・有明アリーナでのタイトルマッチは当初、WBO同級王者のジョナサン・ゴンザレス=プエルトリコ=と3団体王者をかけての大一番が予定されていたが、試合直前にゴンザレスのマイコプラズマ肺炎発症が判明。急きょ、キャンセルとなり、対戦相手がサウスポーのゴンザレスから右ハードパンチャーのアンソニー・オラスクアガ(24)=米国・WBA同級4位=に変更。拳四朗側の対応の難しさが指摘された。
それでも京口との激戦の後、真冬の1月に京都市北区で激寒の滝に打たれて精神面を鍛えたり、試合前2カ月かけてゆっくり約10㌔減量していく最後の1週間は〝断食〟するなど、たくましさを増した拳四朗。オラスクアガとの防衛戦でも3回にこそ幸先よくダウンを奪ったが、8R思わぬ反撃に遭い、危ないシーンも。
それでも9回、オラスクアガをコーナーに追い詰め、連打を浴びせて崩れ落ちたところでレフリーストップ。WBC2度目、WBAスーパー初防衛をTKOで飾った。
その激闘から2週間余り…寺地選手は26日、久御山町役場・宇治市役所・城陽市役所・京都府庁の順で、3市町の首長や西脇隆俊知事らと会い、2団体統一王者防衛を報告した。
まず、久御山町役場では、後援会の安道光二会長、西村好顧問、牧野伸一副会長、田中悠紀彦・田口浩嗣理事らとともに歓談の席に着いた。
ボクシングに詳しい信貴康孝町長は「急きょ対戦相手の変更という想定外にも、これまでの拳四朗選手の試合経験、チーム一丸になっての勝利に感銘を受けた。(4団体統一へ)焦らずに一つひとつ勝利を重ね、必ずや夢を果たしてもらいたい。これからも世界中のファンに夢を見せ続けてほしい」と述べ、激闘の末の防衛を祝福した。
また、宇治市役所では、後援会の山仲修矢顧問、中川晴雄副会長、宇治商議所の長谷川理生也専務理事らも引率に加わった。拳四朗は、宇治市には所属ボクシングジムがあり、親しみのあるまちであることを強調。松村淳子市長は「(タイトルマッチ当日は)府議会選挙戦の最終日で、現地へ応援に行けず残念でした。会場では、後援会の皆さんから叫ぶような声援が飛んでいたと聞きました。白熱した試合で最後に勝利を収められたことで、さらに大ファンになった。階級が違ったところでも活躍を願っている」と祝福の挨拶。ぜひ一度、ライブで試合を観戦したいことを希望した。
■市職員手作り横断幕で祝福/城陽
城陽市役所には、石田實名誉会長や堀井美郎顧問らも同席。木田朱美理事の司会進行のもと、3市町を巡った城陽商工会議所の岩見悦明会頭、生駒智史専務理事(後援会の会計・事務局長)らとともに、父の寺地永(ひさし)会長と拳四朗が勝利報告。
会場には、市職員手作りのオリジナル横断幕も飾られ、奥田敏晴市長は「このように市職員も、寺地拳四朗選手(きょうと城陽応援大使)のことを一生懸命応援しています」と伝え、しばし和やかなひとときを過ごした。
その後、京都府庁では、西脇隆俊知事に世界2団体の防衛を報告。府知事や地元3市町の首長らに対し、拳四朗は「いつも応援ありがとうございます。最初は(ライトフライ級の)3団体統一戦が予定されていましたが、急きょ、無くなってしまいモチベーションが下がりました。防衛戦も大変な試合で、勝ててホッとして泣いてしまいましたが、まだまだ強くなれると感じました。ライトフライで4団体統一を目指すか、フライ級に上げるか…分かりませんが、視野を広くボクシングに取り組んでいきたい」と、力強く約束した。
拳四朗の次戦は、8月か9月ごろにWBC同級1位のヘッキー・ブドラー(南アフリカ)との指名試合が有力視されている。うまくいけば、年内にWBO同級王者のジョナサン・ゴンザレス(プエルトリコ)か、IBF同級王者のシベナティ・ノンテインガ(南アフリカ)との3団体統一戦もありそうだ。