本殿、覆屋、拝殿 美しく/久御山・若宮八幡宮
本殿とそれを守る覆屋(左側)、拝殿(右側)の修復工事の完了を喜ぶ神社関係者ら

久御山町佐古内屋敷に鎮座し、応神天皇、神功皇后、比咩大神の三神が祀られている若宮八幡宮でこのほど修復工事が完了し、本殿、覆屋、拝殿が美しくよみがえった。これを祝う落慶式が10日に執り行われ、関係者らが今後の保存活動へ気持ちを新たにした。
修復工事は2020年の夏に始まり、22年の秋に完了。三間社流造の本殿では、縁や高欄周りの木部修理と塗装の塗り替えを中心に、棟瓦の積み替え、飾り金物の修理、この本殿を風雨から守る覆屋では屋根の葺き替えを中心に、屋根周りの木部や土台の腐朽部分の修理、拝礼を行う拝殿では瓦屋根の葺き替えとそれに伴う木工事、左官工事、建具工事を実施した。
今回の修復工事の過程では、これまでの修繕の記録などが記された6枚の棟札が本殿から発見。このうち最古のものは1550(天文19)年、室町時代後期のもの。少なくともこの時期には既に鎮座していたことを示す貴重な証拠も見つかっている。
本殿、覆屋、棟札は昨年3月に「京都府指定有形文化財(建造物)」の指定を受け、本殿は府登録文化財からの格上げとなり、今後の保存活動にも弾み。関係者にとっては修復工事の完了とともに、二重の喜びとなった。
この日の落慶式には、修復工事実行委員会の茨木雅俊委員長(筆頭総代)や工事を請け負った社寺建築を専門とする㈱奥谷組=京都市南区吉祥院=の千田真由美代表取締役、佐古自治会の今田亨会長、町生涯学習応援課職員ら、計約30人が参列した。
神事では野口重典宮司の祝詞奏上に続き、茨木委員長、工事に関わった㈱奥谷組の千田社長、松建工業の松本三仁代表らが神前に玉串を供え、二礼二拍手一礼の作法で拝礼した。
茨木委員長は、工事関係者や氏子らの支援に感謝の言葉を述べるとともに「深い信仰とともに守り続けてきた先人に感謝し、その思いを引き継ぐ」と、今後の保存活動に努力する決意を新たにした。
㈱奥谷組の千田社長は、本殿などが府指定有形文化財に指定されたことを喜びつつ、「今後もご社殿が皆さまに愛され、年月の施す化粧によってより一層美しく輝くことを祈念いたします」と、お祝いの言葉を述べた。
実行委員会の木原茂雄顧問は「感謝の気持ちでいっぱい。府指定有形文化財は町内でここだけ。小さい社だが歴史的価値がある。未来永劫、大事にしていきたい」と、感謝の気持ちを込めた。