京都産業大学学生らでつくる「井手応援隊」の活動拠点「むすび家ide」=井手宮ノ本=に、にぎわいが戻った。「むすび家カフェ」が営業を再開。小学生対象の「寺子屋」は対面型で行われている。
同施設は2016年、築100年以上の古民家を改修してできた。改修では、床の張り替えなど、学生ができる限り関わり、完成後は学生が小学生の勉強を手伝う「寺子屋」や、同大学教授による町民向けの生涯学習講座などが開かれてきた。カフェも開店し、学生らも運営に携わってきた。
しかし、2020年3月に行われた交流会で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生。建物は閉鎖され、人気を博していたカフェは同月末から休業となっていた。寺子屋は昨年8月に再開されたものの、学生らはオンラインでの参加だった。
カフェが再開したのは5月。約3年ぶりだ。営業は、第1、3土曜日午前11時~午後3時(ラストオーダー14時30分)。毎回内容が変わるサンドイッチと洋食プレートの他、ケーキやコーヒー、紅茶などのソフトドリンクも提供している。
再開3回目の営業となる17日は好天にも恵まれ、外のテラス席で語らう人らの姿も見られた。開設当初からカフェの運営に携わっている「よつ葉マート」の室慎一郎さん(シェフ)は、「涙が出そうなくらいうれしい。(1953年の)南山城水害の中で残り、学生たちが思いを込めた建物。この場所でさせてもらえることが、感慨深い」と話した。室さんによると、来客は回を重ねるごとに増えており、約4割は町外からという。
「寺子屋」も同じ日程で行われている。対面形式に戻り、この日は、経済学部の大西辰彦教授の3回生ゼミ生(中田美帆ゼミ長)13人と小学生6人が参加。学生が宿題などの勉強を見たり、一緒にレクリエーションを行ったりした。
大西教授は「活動はコロナ禍前に戻ったが、体調が悪ければ休むように言っている。学生たちはカフェの手伝いにも入る。カフェと寺子屋の相乗効果を図っていきたい」と展望した。
小学生、大学生、町内外の来客…「むすび家ide」は、文字通り人と人を結ぶ場所として、にぎわいを取り戻した。