第105回『全国高等学校野球選手権大会』は9日、大会4日目を迎え、4年ぶり4回目の夏の甲子園に帰ってきた立命館宇治は第4試合に登場し、神村学園(鹿児島県・6回目)との初戦に挑んだ。前回超えの「甲子園2勝」を目指す立宇治は、序盤からリードを許す苦しい展開となり、2‐10で敗れた。
立宇治の先発はコントロールを武器とするエース・十川奨己。195㌢の長身右腕に対し積極的にバットを振り抜く神村打線が、序盤から襲い掛かった。
立宇治は1回表、主砲・正林輝大に右中間フェンス直撃のタイムリー2塁打を許すと、2回には9番・松永優斗のスクイズでもう1点を失い、さらに4回表には松永、今岡歩夢の連続タイムリーでリードを広げられた。中盤から終盤にかけても、今岡歩夢にバックスクリーンへの特大2ランを浴びるなど、苦しい展開となった。
反撃に転じたい立宇治打線だったが、140㌔を超えるストレート、キレのあるスライダーをテンポよく投げ込む相手先発の松永の前に1、2回は沈黙した。
しかし3回表、十川が相手クリンナップを三者凡退に仕留め、攻撃へのリズムをつくると、直後の3回裏から4イニング連続で先頭打者を出塁させ、松永にプレッシャーをかけた。
そしてようやく6回裏、重苦しい空気が一変。先頭の井上将徳がレフト線への2塁打で出塁すると、京都大会から好調をキープする北川陸翔もライト線へのタイムリー2塁打で続き、待望の1点。さらに伊東航へのヒットバイピッチでチャンスが拡大。アルプススタンドに陣取った大応援団を沸かせた。
7回表、十川がピンチを招いたところで、塚本遵平へ継投。この夏、初マウンドとは思えないキャプテンの気迫のピッチングで見事に後続を断ち、再び反撃態勢を整えた。
3回裏と4回裏のチャンスでのダブルプレーが最後まで大きく響いた立宇治だったが、最終9回裏には築山のセンター前ヒットから、代打・市村祐樹がセンターオーバーのタイムリー3塁打。市村のヘッドスライディングに再び勇気を取り戻したナインやスタンド。大逆転だけを信じて、大きな声援を送り続けたが、初戦の壁を破ることはできなかった。
■現地観戦した松村淳子・宇治市長のコメント
「見ている人を熱い気持ちにさせる最後まであきらめないひたむきなプレーに感動しました。府代表、市代表として、甲子園の舞台で堂々と戦い抜いた皆様を誇りに思います。この悔しさと経験を糧に、3年生は次のステージで、1・2年生は、よりチーム力を高められ、更なる活躍を期待しております」