農と食のネットワーク形成へ/京田辺市大学連携ディスカバリーベース
新たな農と食のイメージが膨らむクラフトビールとマコモタケの商品化へ意見と質疑が飛び交った

京田辺市大学連携ディスカバリーベース(DB)ミーティングの今年度初会合は22日に市役所で開かれ、研究実践者が「農と食を活用した市民主導型まちづくりの推進」をアピール。地元産クラフトビールをはじめ、生育頑強で中華食材で知られるマコモタケの商品化に努め、推進のバネにする。
2021年設置のDBは、市内にある同志社・同志社女子大学の教員・学生らの活動を後押しし、より身近なものとして大学のソース(資源)に住民が触れる狙いがある。
2大学と連携する市は22年に府立大とも協定を結び、年100件を超える関連事業を実施する。
この日、ゲストスピーカーに招かれたのは、昨年度の市大学連携地域貢献研究事業に選ばれた沼本穂(みのり)・摂南大農学部応用生物科学科特任助教と小林基・同国際学部特任講師の実践を伴う研究者2人。

ゲストスピーカーの沼本穂特任助教がプレゼン

プレゼンに立つ沼本特任助教は「農と食を活用した市民主導型まちづくりの推進・地元産大麦とマコモタケの商品化の試みを軸として」の題で現在地を総括した。
普賢寺で栽培するマコモタケは低カロリーで食物繊維を豊富に含むイネ科植物。
中華圏で日常好んで食べられ、栽培が比較的容易で休耕地にも適う作物だ。
「菌糸伸長と胞子形成メカニズムを解明し安定した栽培法の確立を目指す」と耕地面積を拡大する。
京田辺農福観地域づくり協議会が推進するクラフトビールづくりは、明治期に普賢寺村出身の田宮龍太郎が普及に努めたゴールデンメロンを復活させる試み。
20年にさんさん山城で100粒の種から栽培を始め、大住の畑で種まき・麦踏み・収穫し、2年目の実り80㌔から取れた麦芽22㌔で今春に330㍉㍑300本の試験醸造を味わった。
「普賢寺でホップを収穫。耕地を広げ、商品化に向け来年は500本醸造」と計画している。
沼本特任助教は学生と農作業し大阪市内の醸造所とも連携して「ビール酵母を開発したい。古い大麦品種で背が高く倒れやすい。育種もしたい」と声を強める。
そして、神戸市の農村ボランティアBank(ノラバ)を例に、農村と有志をIT技術でつなぐ縁農ネットワークをうたい、「もっと農業に興味を持ってもらい、つながりを広げる」とひも解く。
上村市長ら委員が価格設定、労働力などの見通しを尋ね、沼本特任助教は「地元にブルワリー(醸造所)を」、小林特任講師は「マコモタケは手間いらず。空地(土地)対策に有効で副産物になる」などと説明し、上村市長は「特色ある作物として伸ばしていくのがよい」と背を押す。