城陽市観音堂西畑の浄土宗・常楽寺(江島慈心住職)と富野校区自主防災会(山田六男会長)による「災害時における避難支援に関する協定」、観音堂自治会(澤田源一郎会長、約110戸)を含めた3者での「覚書」締結式が1日、同寺で執り行われた。
関東大震災からちょうど100年を迎えた「防災の日」に開かれた締結式には、同寺から江島住職、内田松太郎筆頭総代、北村義二・奥源司両総代、同校区自主防災会から山田会長、土居一豊事務局長、萩本賀勇防災リーダー、観音堂自治会の澤田会長らが出席。市から下岡大輔危機管理監、危機・防災対策課の三瀬忍課長補佐も立ち会った。
「自主防災組織」と「寺院」による協定締結のきっかけは、江島住職が浄土宗の広報紙で、2011年3月の東日本大震災の際、多くの被災者が地元のお寺に避難したことを知ってことにさかのぼる。いざという時に、観音堂自治会を主とする地域住民に同寺の本堂及び庫裡(くり)を避難場所として提供するもの。
観音堂地域でも住民の高齢化が進み「避難所の南城陽中まで行けない」という声が上がっていることも今回の「協定」「覚書」締結を後押しした。
式では、協定書や覚書への署名・捺印に続き、江島住職が「檀家の枠を越えて地域の方々にお寺を使ってもらうことを総代さんらに相談したところ(今回の協定・覚書締結を)快諾していただけた」と説明した。
内田筆頭総代、山田会長、澤田自治会長の挨拶に続き、下岡危機管理監は「常楽寺には、地域の安心安全のために施設を避難場所として使用することの提案をいただき、また富野校区自主防災会や観音堂自治会には、平素から本市防災行政に理解・協力を賜り、厚くお礼申し上げる。市の西側を流れる木津川が氾濫した場合、市域西側の大部分が浸水すると想定され、また今後30年間で70~80%と高い確率の南海トラフ地震が発生した場合、城陽市でも震度6強の揺れで、大きな人的被害や建物被害がもたらされると想定されている。災害が発生すれば公的な避難所も開設するが、こういった地域の皆さんのための避難ができる所(お寺)があることは大変意義深く、ありがたい」と述べ、出席者らに敬意を表した。
本紙記者の質問に対し、江島住職は「本堂と庫裡を合わせて60人ぐらいは避難いただける」と説明。萩本防災リーダーは「障害を持つ人や高齢者ら移動困難な方にお寺を利用してもらえれば、市に対しては長期的に車いすを貸してもらえるようお願いしたい」と話した。
なお、寺院と自主防災組織による「災害時における避難支援に関する協定並びに覚書」締結は市内で初めて。協定の有効期間は来年3月末だが、双方どちらかから破棄の申し出がない限り、1年更新で継続される。