茶の先人へ 報恩と感謝/第72回宇治茶まつり
宇治橋三の間で名水汲み上げの儀

秋の茶どころ宇治を彩る行事、第72回宇治茶まつり=同奉賛会(堀井長太郎会長)主催=が1日に宇治川畔で開かれた。コロナ禍で中止が続いていた茶席が4年ぶりに復活し、市民や観光客らが宇治の茶文化に触れた。

塔の島から朝霧橋へ向かう名水行列

茶の先人である栄西禅師、明恵上人、千利休の遺徳をたたえ、その供養とともに茶業の発展を祈願する祭事。この日は朝からぐずついた空模様だったが、開始時刻の午前9時すぎには小雨が止み、宇治橋三の間での神事が始まった。
東宇治茶業青年団の林屋賢太郎さんと山根望さんが狩衣に烏帽子姿で釣瓶をたらし「名水」を汲み上げた。その後、杉本剛さんが先導する古式行列が、平等院表参道を進み、塔の島から宇治川東岸を興聖寺へと向かった。

興聖寺本堂での茶壷口切の儀

本堂での式典では宇治茶業青年団の中村省悟さんが入江一徳さんの介添えで茶壷口切りの儀を執り行い、新茶を石臼でひいて香り高い抹茶に仕上げた。
奉賛会の堀井会長が祭文を読み上げ、先駆者の偉業に感謝と報恩をささげた。表千家の三木町宣行宗匠による献茶があり、建仁寺の誦経に続いて参加者たちが焼香した。

復活した協賛茶席(宇治上神社)

コロナ禍の休止があり4年ぶりに復活した茶席では、表千家が同寺と府茶業会館で本席、副席を開設。宇治上神社では市茶道連盟が協賛茶席を開いた。お茶のみコンクールや抽選会もあり、川畔一帯が秋の香りに包まれた。