半年近くにわたり、奈良と東京で人々の目を引き付け、心を癒した禅定寺の十一面観音立像が21日、宇治田原町に帰還。同寺の宝物殿に無事、納められた。【写真】
6月28日に禅定寺から旅立った十一面観音が、まず向かったのは奈良国立博物館。
浄瑠璃寺の本尊である国宝・九体阿弥陀像の修理完成を記念して、奈良と京都を結ぶ祈りの至宝を一堂に展示した聖地「南山城」特別展で7月8日から9月3日まで、凛々しい立ち姿を披露した。
薬師寺(和束町)の薬師如来坐像、常念寺(精華町)の菩薩形立像、現光寺(木津川市)の十一面観音坐像などの重要文化財もズラリと並んだが、その中でも京都屈指の巨像として知られる観音立像は大きな存在感を示した。
そして、9月16日から今月12日までは東京国立博物館で多くの人たちを優しく見つめた。
奈良から選りすぐりの像を移した「京都南山城の仏像」特別展。みうらじゅん氏(イラストレーター)、いとうせいこう氏(作家)による仏像大使トークショーも好評を博した。
そこから大型トラック2台を引き連れて帰ってきた十一面観音。
身長は286・4㌢だが、今回の展示に際し、991年の制作時から初めて精密な体重測定も行い、木像本体だけで158㌔あることが分かった。
特設の搬入路を組み立てて、そこにクレーンで乗せられた十一面観音は、布でグルグル巻きにされて、ちょっぴり痛々しくも見えたが、それを脱ぐと再び、スクッと立ち、凛々しい姿で、いつもの場所に納まった。
22日から宝物殿は通常開館。時間は9時~16時。拝観料は大人500円、高校生・大学生400円、小中学生200円となっている。