冬から春へと季節が移りゆく「節分」の伝統行事が3日、地元各地で執り行われた。寒さが一段落し、穏やかな晴天に恵まれたこの日、各地の社寺では厄除けや招福を祈る大勢の参拝者が訪れた。
■福豆求め 参拝者の渦/宇治神社
宇治市宇治山田、宇治神社(花房義久宮司)では、正午からシニア太鼓「えん」と伊勢神楽の奉納で節分祭がスタート。勇ましい和太鼓と囃子の音が辺りに響き渡った。
境内には、恒例の福豆まきを今や遅しと待ち構えた参拝者たちの渦ができていた。本殿での祈願祭が終わった午後1時30分、拝殿に松村淳子市長はじめ地元の名士たちが勢ぞろいした。
紹介アナウンスに続き「福はうち」の声が掛かると、福豆が入った小袋を一斉にまいた。参拝者たちが福を授かろうと手を伸ばして受け取っていた。
■護摩木燃やし無病息災祈る/正覚院
宇治川河畔の宇治又振にある高野山真言宗・正覚院(杉山徹義住職)は、厄除けを祈願する節分祭(星まつり)を執り行い、人々が足を運んだ。
例年は信者らが境内の釜で麹(こうじ)を炊き上げて特製の甘酒を接待していたが、感染症予防で3年前から持ち帰り用のカップ酒としており、今回もその形式にならった。
午後0時30分、杉山住職が護摩木を火にくべて読経。参拝者らは開運不動の前で静かに手を合わせて念じ、福豆や甘酒を授かった。
■獅子が厄除け 甘酒や一升瓶/神明神社
宇治市の神明神社では、花房義久宮司導きのもと午前10時から「節分祭」を営んだ。
神楽殿での神事は、取り囲んだ地元の善男・善女が静かに手を合わせ、家内安全や無病息災を祈った。また、諸々の災厄を払おう―と、獅子舞奉納のあと、参拝者の頭を獅子がガブリとかんだ。
御神酒が当たるくじ入りの福豆授与では、一升瓶を射止めた幸運の持ち主が歓声を上げた。
また、大鍋で煮た香り高い甘酒も振る舞われ、能登半島地震の被災者へ寄付の呼び掛けに善意が寄せられた。
■「霊芝そば」復活 御神酒での接待も/許波多神社
宇治市五ケ庄の許波多神社(木村顕治権宮司)では、恒例の節分祭・星まつりが営まれた。
境内を訪れた参拝者は、神前に手を合わせた後、社務所前の受付で無病息災を願う「霊芝そば」を受け取った。御神酒での接待も行われ、木村権宮司は「4年ぶりに霊芝そばと御神酒の接待を復活できた。当社は封病・健康のご神徳の神様ですので、体に良いと言われる霊芝そばを召し上がり、御利益を授かっていただければうれしい」と話した。
日没後の本殿で執り行われた星まつりでは、馬頭天王・弁才天の男女二神像を前に御祈祷名簿が供えられ、御加護が祈念された。
■無病息災願い冬季大法要/西導寺
重要文化財の薬師如来坐像(平安時代)などを安置する西導寺(盛田悠記住職)=宇治市五ヶ庄=では、護摩木を炊いて無病息災・コロナ禍終息などを願う冬季大法要が営まれた。
午前中は、同寺の重要文化財奉賛会(安本和年会長)が、おでんで接待。参拝者は、前日から大鍋で煮込まれた、味の染みた大根・糸こんにゃく・揚げ・ちくわに舌鼓を打った。地元農家から提供された取れたて野菜の販売や、福豆授与もあった。
午後からは境内に組まれた護摩が焚かれ、参拝者らは燃え盛る炎に手をあわせ、家内安全や無病息災を願った。
■田楽接待で厄落とし/禅定寺
宇治田原町の曹洞宗・禅定寺では厄落とし『コンニャク田楽』が、参拝者に振る舞われ、おいしいコンニャクに舌鼓を打った。
そして、久保敬童住職が「福は~うち」と豆まきを始めると、老若男女が帽子や袋をかざし、衣服も広げて福を追い求め、禅定寺観音のご縁が1年間続きますように―と『お福分け豆』が宙を舞うと、天空に向かって一層大きな歓声が上がった。