新茶で乾杯 笑顔が弾む/宇治茶会館で「八十八夜の集い」
開会セレモニーで宇治茶宣伝隊が新茶を準備した

夏も近づく…の歌でおなじみの「宇治新茶・八十八夜茶摘みの集い」が1日、宇治市宇治折居の宇治茶会館で開かれた。雨のため、屋外での開会セレモニーと報道向けの茶摘みシーン撮影は中止となったが、事前申込の参加者500人が、お茶づくしのイベントを心行くまで楽しんだ。
茶摘みや製茶工程、淹れ方などを体験し、宇治茶の魅力に触れてもらおうと、府茶業会議所と府茶生産協議会、府茶協同組合、茶業団体や行政で組織する宇治茶の郷づくり協議会が、新茶のシーズンに毎年開催している。コロナ禍で中止があり、2年前から一般参加を再開した。

吉田会長(右)の発声で西脇知事ら式典参加者が乾杯

この日はあいにくの雨となり、午前9時から会館隣にある府茶業センター2階でセレモニーが開かれた。府茶業会議所の堀井長太郎会頭が「この時期にしか味わえない新茶を存分に楽しんで」と呼び掛け。来賓の西脇隆俊・京都府知事、松村淳子・宇治市長、山井和則衆院議員、西田昌司参院議員が挨拶に立ち、祝辞を述べた。宇治茶宣伝隊のメンバーが参加者へ新茶を配り、吉田利一・府茶生産協議会長の発声で乾杯した。
昨年同様、1階ピロティでは煎茶体験と販売コーナー、3階では抹茶または玉露と石臼体験があった。このうち玉露体験では、約40度に冷ましたお湯を小さめの急須に入れた茶葉の上へ注ぎ、じっくりと抽出。「だしのような旨味ですね」「テアニンというアミノ酸成分です」「茶葉5㌘で何回飲めますか」「今回の試飲では3回ですが、4~5回くらいはOKでしょう」などと会話が交わされていた。
妻の綾部美穂さん(55)=京都市左京区=と玉露を楽しんだロバート・ヘリヤーさん(57)は、アメリカ出身の歴史学教授で『海を越えたジャパン・ティー』の著者で知られる。「煎茶も美味しかったが、玉露の方がより繊細な味だった。宇治に来たのは4回目。京番茶も好きで飲んでいます」と笑顔だった。

製茶体験。乾燥が進むにつれ爽やかな茶の香りが漂う

一方2階では、センターの茶園で摘んだ葉を自ら製茶して味わうプログラムが人気を集めていた。本来は手もみ技術職人が長時間かけて行うところ、体験用のため熱したホットプレートの上で葉をもむなどして作業を短縮化。約1時間で「100%手作り宇治茶」が完成した。
夫と一緒に手もみ体験をした大槻広子さん(65)=京都市右京区=は「天気が良くなると思っていたが、まさか傘を差しながらお茶摘みするとは」と笑いながら「最初は野菜炒めのようでしたが、時間がたつごとに緑は濃く、香りは強くなり、市販品と同じくパラパラの茶葉に。宇治にこんな楽しい催しがあるなんて。ますます日本茶が好きになりました」とご満悦だった。