茶どころ宇治の秋を彩る第73回「宇治茶まつり」=同奉賛会(堀井長太郎会長)主催=が6日、興聖寺を中心に開催された。先人が生み出した地元特産の宇治茶に感謝の意を捧げつつ、市民や観光客らが至福の一服を味わった。
中国から茶を伝えた栄西禅師、宇治に茶園を開いた明恵上人、茶道の礎を築いた千利休の遺徳をたたえ、茶業発展を祈る祭事。コロナ禍で中止が続いていた茶席が昨年から復活し、会場は多くの人で賑わった。
午前9時に始まった宇治橋三の間での儀式では、宇治茶業青年団の上林亮一郎さんと利田直紀さんが狩衣に烏帽子姿で釣瓶をたらし「名水」を汲み上げた。その後、古式行列が平等院表参道を進み、塔の島から宇治川東岸を興聖寺へと向かった。
同寺本堂で開かれた式典では、宇治橋から運んだ名水を仏前へ献上。続いて小倉茶業青年団の渡邊和正さんが、野々村慎二さんの介添えで、茶壷口切りの儀を行い、新茶を臼で引いた。裏千家の徳丸宗敏さんが茶を点て、献茶の後、参加者が焼香した。
堀井会長は「先人のたゆまぬ努力によって培われた宇治茶は、山城地域の伝統産業として重要な位置を占めるにとどまらず、世界遺産の登録の機運が高まるまでに至っている。宇治茶の名声を汚さないよう、さらに品質の向上を図りながらより精進していく」と茶業振興に向けた決意を述べた。
式典終了後、門前で茶筅塚供養が執り行われた。境内にはこれまでの「お茶のみコンクール」(茶香服)に代わって玉露、碾茶、煎茶の「飲みくらべ」コーナーが設けられ、参加者たちが列をなしていた。
同寺と府茶業会館で裏千家淡交会が本席、副席を開設。宇治上神社では市茶道連盟が協賛茶席を開き、この日のために準備された貴重な抹茶を振る舞った。