
大蛇に見立てた巨大なしめ縄を集落の入口に奉納し、病魔退散や平穏無事を願う「神縄座(かんじょうざ)」が、宇治田原町立川糠塚地区で古式ゆかしく執り行われた。
江戸時代から300年以上も続くと言われる同地区の伝統行事。長老が御林山に鎮座する熊蔵神社の宮守となり、1年間の祭事を司っており、この神縄座が最後の行事。今年の当屋は植田義文さん(78)。
同神社奉賛会(永田知史会長)のメンバーら約60人が愛茗会館に集まり、12本1組のワラ束を編んで作った3本の大縄をねじって巨大なしめ縄に仕上げ、その下部に横向きにした樒を12段になるまで縄で織り込み垂れを作った。11日午前9時に始まったこの作業は午後4時過ぎまで続き、直径約30㌢、長さ約8・5㍍、重量は推定で約300㌔という、町内最大級の巨大しめ縄が完成した。
その後、地元の浄土寺の住職がお正念入れの法要を執り行い、約400㍍西北の集落の入口とされる神縄の杜まで竹を利用して運び、樹に蜷局(とぐろ)を巻くように奉納した。
同地区で生まれ育ち、子供の頃からずっとこの伝統行事を見守ってきた当屋の植田さんは「当屋となってからずっと、無事に奉納できるよう願っていました。みんなに助けられて1年間の役目を果たせました」と話し、胸をなで下ろしていた。