
城陽市立久津川小学校(藤谷郁子校長)の3年生58人は4日、2クラス合同授業で、伝統産業「金銀糸」の生産から製造工程や苦労話を聞き、ふるさとにより愛着を深める取り組みを行った。
講師として招かれたのは、市青少年健全育成市民会議会長で、同小学校運営協議会の会長でもある山口伊津男さん(66)。山口さんは、久津川校区(平川古宮)に住み、昼間は観音堂地域にある金銀糸製造会社・山吉漆紙工業㈲で代表取締役を務めている。
毎年、恒例となっている久津川小での山口さんの講義では、3年生に対し「城陽の地で金銀糸生産が盛んになったのは明治時代。地下水が豊富で、適度な湿度があることから本金糸製造の適地として定着した」と、長らく西陣織を仕立てる糸の供給地だったことを伝えた。
ただ、時代は変遷し、今では真空蒸着されたフイルム等に合成樹脂塗料で着色。衣類など布製品だけでなく、アイドルのライブでの応援テープや紙吹雪に使われることも…。
さらに、児童生徒一人1台の貸与が始まったタブレットや携帯電話、パソコン、カーナビにもフイルム金糸が使用され、通電効果を発揮するなど進化を続けているという。
山口さんは「本社には、13台の機械があるが今、絶えず稼動しているのは6台ほど。一日あたり1万2000㍍のフイルムに色付けすることが可能です」と説明した。
授業の後、児童らは「携帯電話など、いろんなところに城陽の金銀糸が使われていることを知れてよかった」などと感想を述べた。
一方、社会人講師を務めた山口さんは「資料を(タブレット等の)画面に映し出すのではなく、紙で手作りして個々に渡し、持って帰ってもらうことで、物を大切にしてほしい…との思いを伝えました」と笑顔で話していた。