【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

地球温暖化に逆行する寒波襲来の厳冬2月が過ぎ、城陽市の梅まつりの開催で待ち焦がれた春の到来を実感する季節を迎えました。春告げ鳥のウグイスのさえずりでは、古来より仏教ゆかりの『法・法華経』と聞きなし、生きとし生けるもの全ての平安を願ったブッダの想いが込められているとの説があります。日本の三鳴鳥のウグイスも、それまでは地鳴きと呼ばれる地味な『ジャッ・ジャ』の鳴き、早春にメスへのプロポーズの恋歌としてオスのさえずりの練習が始まります。そうして初めて『ホー・ホケキョ』の完成鳴きを初音・はつねと呼び、桜の開花前線同様「鶯の初音前線」として記録されてきました。

城陽市の木津川河川敷での初音は例年3月1日で、近年は1週間ほど早いのが通常でしたが、今年は小雨降る4日に梅まつりの会場で確認されています。そして次なる野鳥暦は「ツバメの渡来前線」で、南方の温暖な地で冬越したツバメたちが繁殖のために戻ってくる「初認日」を記録します。同じく地元城陽市では例年3月16日としていますが、やはり近年では10日ほど早くなっているものの今年は1日だけ早い3月15日に木津川・山城大橋で初観察されています。

さて、2月は1日に京都パルスプラザで「京都環境フェスティバル2025」が、翌週の9日には文化パルク城陽を会場に「さんさんフェスタ」が開催され、京都府最大の環境イベントと地元のおまつりで城陽環境パートナーシップ会議が取り組んできた活動成果の報告を行いました。昨年11月の「第23回城陽市環境フォーラム」では、侵略的外来生物・クビアカツヤカミキリの警告とガイドブック第6弾「外来生物編2025」の原版の完成報告を行いましたが、今回はガイドブックの現物を一般配布に先立って参加者にひと足早く進呈して好評を博しました。

2月22日には冬期恒例の「古川野鳥観察会」を開催し、ここでも外来生物編の新作ガイドブックを配布してご協力いただいた関係者各位への送付も始まりました。野生動物との共存の願いも、生息環境の悪化からシカやイノシシ、サルなど在来種の増加による被害も著しく、スズメバチに代表される危険生物への対処といった問題など、自然保護活動の一環に駆除による適正化が求められてきました。現在では、農業被害や漁業被害を受けて実施される「有害鳥獣駆除」や狩猟にも理解が得られるようになりました。

対して外来生物では、一部の在来生物の増加に伴う生態系の変化に留まらない壊滅的な影響も考えられることから、早急な対策が求められてきました。ペットとして日本に連れてこられたなんの罪もない外来生物たちの駆除には異論もあり、捕獲許可の申請や捕獲方法と共に屍の処理の問題もあって駆除の障害となっています。今回作成したガイドブックが外来生物の現状を知り、生態系の撹乱を考える機会となって、必要不可欠な駆除対策への理解と協力の環が拡がることを願っています。

そして、昨年度より緊急課題として取り組んでいるクビアカツヤカミキリ対策では、サクラと共に城陽市特産のウメやモモへの防御に役立つべく地元講習会の開催を新年度の目標に挙げています。ナチュラリストのライフワークとするフィールド探査の朗報も、一昨年の宇治市の珍蛇・タカチホヘビの発見に、和束町での新種の淡水魚・ナガレカマツカにユビナガコウモリの発見に続く希少野生生物の生息調査の成果でお応えできることを願っている年度末です。

超多忙を極めた厳冬2月の活動報告も、ガイドブックシリーズ企画の最終となる第6弾・外来生物編の完成と、啓蒙活動の場で活かせたことでナチュラリストの本分を果たせたものと自負しています。多くの人たちに支えられての賜物と実感するフォトレポートにお付き合い下さい。

◎「ガイドブック・外来生物編」完成披露の2月

2月1日、京都パルスプラザで開催された「京都環境フェスティバル」に、今年も「城陽環境パートナーシップ会議」として参加しました。例年11月に開催される「城陽市環境フォーラム」と共に、年間最大行事と位置付ける京都府における最大の環境イベントでの活動報告と研究成果の発表は、環境保護団体としての真価が問われる場でもあり、今回は「城陽生き物ガイドブック」の第6弾・外来生物編の完成披露です。(写真①②)

これまで、2010年度の「城陽生き物ハンドブック」から2014年度の同改訂版に翌年のDVD版、さらには2018年度に始まるガイドブックシリーズ初回の「希少生物編」から今回の外来生物編まで、コロナ禍の2020年を除いて、植物編や昆虫編など自慢の郷土の環境資料を公表してきました。もちろん他年度にも、「鳥類目録」や「野生生物生息リスト」など筆者の所属学会での研究成果の発表に関する演題をメインに京都環境フェスティバル参加の皆勤賞を続けています。また、2009年度からは上村淳之画伯の南山城村・花鳥の郷をつくる会や笠置中学校、和束町などの参加と出展にも携わってきました。

コロナ禍以前の京都環境フェスティバルは、12月に2日間にわたって開催されていて、活動成果の発表と共に冬眠前のヘビやカメなどの生き物展示もしていました。昨年来、来場者からスッポンやヘビを懐かしむ嬉しい声が寄せられ、今年の目標とする白蛇に赤蛇・青蛇、幻の怪蛇・ツチノコ発見への後押しとなる元気をもらって、次回にはお宝生物を披露できることを願っているロートルナチュラリストです。

こうした啓蒙活動も、個人ではとても荷が重いイベントで、「城陽環境パートナーシップ会議」の事務局と運営委員の方々には、日頃からの活動に理解と協力を頂いて気分よくナチュラリストの責を果たしています。ライフワークとするフィールド探査も、鳥や魚に昆虫まで、心強い盟友たちの存在があってこその賜物と感謝しています。京大名誉教授で漁具のモンドリ研究家でもある水野尚之運営委員(写真③左2)も、今回のテーマ・外来生物に関連してワニガメの剥製2体の出展で協力いただいています。2007年に大阪府枚方市で見つかったワニガメを引き取りに行き、京都府で飼養許可第1号の個体と、その後八幡市の三川合流地で見つかった2号で、ガイドブックの表紙を飾る迫力のガメラたちは大人気でした。

環境保護団体の他、行政や学校に企業など80もの出展ブースとフリマや販売コーナーがあり、ステージでは小島よしおさんの環境ショーやヒーローショーには1時間前から長蛇の列ができるほど盛況でした。ここでは、自然保護に理解が深い活動家の人たちとの交流の場でもあり、再会を楽しみにしています。やましろ里山の会の山村武正さん(写真④前)を訪ねたブースでは、水谷修・府議会議員(同右)と久しくの再会があり、「宇治市市の鳥制定委員」として奔走していた30年も前の記憶がよみがえりました。当時、宇治川のヒガイやスジシマドジョウなど希少淡水魚の保護を考えられていた水谷さんを、琵琶湖博物館の前身・琵琶湖文化館の館長・松田尚也先生との橋渡しをしました。元祖環境議員にガイドブック・外来生物編を進呈し、クビアカツヤカミキリの対策協力依頼にも快諾をいただきました。

城陽環境パートナーシップ会議の鳥類アドバイザーの脇坂英弥氏も、「関西ケリ研究会」のブースで昨年に続いて出展しています。(写真⑤) 今回のガイドブックでも欠かせない協力者の鳥類学者の脇坂君は、筆者の日本動物専門学院時代の自慢の教え子です。また、三菱自動車の企業出展で参加の新勝君(写真⑥右2)は、筆者の20代を知る学習塾の教え子で、40数年も前の生き物エピソードの思い出話に毎年元気をもらっています。そして現在、生き物教室や野外の生き物観察指導を担当している「里の西保育園」のりく君が会場に来てくれました。(写真⑦) 彼ら孫世代のエコキッズたちと過ごす時間が何よりの楽しみとなっているロートルナチュラリスト、その前々日には狩猟の罠にかかったトビ2羽を持参して一緒に放鳥しています。

2月9日に文化パルク城陽で開催された「さんさんフェスタ」では、コロナ禍で中断していたステージが復活し、ステージイベントでの音楽ライフに大学のジャグリングサークルなど大盛況でした。ここでもミュージシャンでもある畑違いの旧友との久しくの再会がありました。筆者とかぶる「タートル・中川」として知られる中川修蔵さん(写真⑧左)とは、カメつながりの交流でナチュラリスト仲間たちとも楽しい思い出を共有する間柄ですが、コロナ禍の停滞もあって近年は疎遠になっていただけにお互いのステージの場での再会を喜び合いました。ケイタローバンドやジャグラーの大学生たちステージエンタテイナーたちとの記念撮影で、テンションもMAXです。(写真⑨⑩)

ふれあいホールでの落語家・三遊亭藍馬さんの講演や、市民プラザでの数多くの団体のワークショップなど大盛況の今回のさんさんフェスタにおいて、城陽環境パートナーシップ会議ではガイドブック・外来生物編の展示発表と共に、地球・循環部会による「省エネ診断」コーナーの開設で環境保護団体の務めを果たしています。(写真⑪) 同郷の様々な人たちの精力的な活動に感服し、元気をもらったイベント参加となりました。(写真⑫⑬⑭)

2月22日は冬期恒例の古川野鳥観察会です。近年は河川改修による野鳥の生息環境の悪化から、確認種の減少傾向もあってフィールドの変更も検討されましたが、もう四半世紀にわたる定期的な野鳥観察記録が残る学術的にも意義の深い取り組みを考慮し、これまでどおりの継続開催が決定しました。今回も北部コミセンを発着コースに、竹野功璽さん、岡井勇樹さんを講師に招いて総勢26名で古川流域を散策しました。(写真⑮) 出発に先立って、標本資料として届いた南山城村で事故死したアオバトの屍を披露しています。(写真⑯) 近年、絶滅危惧種から準絶滅危惧種にランクダウンしたとはいえ、めったに見ることのできない希少な冬鳥です。やはり昨年には国鳥のキジを、一昨年は今や幻となりつつあるヤマセミを持参し、教材としての有効活用で供養しています。

そして、寒さが身に染みる中みんなで観察できた野鳥は、昨年より1種類だけ多い28種でした。中でも、大陸から越冬のために飛来したミヤマガラスは、実に8年ぶりの出現です。今回もイソシギなどの希少種に空飛ぶ宝石・カワセミも観察出来、近年見られなくなっていたミヤマガラスの確認記録もあって実りある観察会となりました。また、古川近くの上津屋出身の城陽中学校時代の同窓生、照さんと信さんの当日参加があり、60年前のケリの思い出を共有し、蛇のクチナワやモグラのオンゴロの俗称を知る幼なじみとの会話が弾んだ最高に楽しい一日となりました。(写真⑰) そしてもうひとつ、参加者から隣接する木津川堤防「桜づつみ」においてスマホで撮られた鳥が、超がつく珍鳥・絶滅危惧種のトラフズクだったというエピソードの詳細は、いわくつきのミヤマガラスの解説とフィールドサインのノウサギの足跡写真などと共にあらためて報告をお待ちください。

2月5日には、自身3回目となるクビアカツヤカミキリの研修会にも大野会長たち4人で参加し、クビアカツヤカミキリの警告を裏表紙に配した新作ガイドブック・外来生物編を講師の宗實久義先生(写真⑱中)に進呈し、今後の防除対策に尽力する旨を伝えています。また、5月に予定している南山城村・花鳥の郷プロジェクトでのバスツアー研修会の打ち合わせや、園児たちと春を探しての厳冬の生き物探検に相変わらずのアライグマ駆除のサポートなどなど、平日も休む暇なく大忙しの2月を過ごしました。

そして、3月を待たず花粉症が重症化し、当活動報告のホットな話題も筆が進まず半月遅れの出稿となりました。車の運転も自粛で予定していた協力者の方々へのガイドブック進呈にも支障をきたしましたが、やや回復の兆しに春休みのローカル列車の旅とミュージアム巡りを楽しみにしている昨今です。野球と共にシーズン幕開けのフィールドワーク、最新ホットニュースの朗報発信にご期待下さい。