
宇治市の平等院にある資料館「平等院ミュージアム鳳翔館」企画展示室で、世界遺産登録30周年記念特別展「光は国を越えて」第3期が開かれている。テーマは「平等院への旅~近世平等院と観光のきざし~」。12月14日(日)まで。
江戸時代前期の『平等院参詣図』の中央には境内と鳳凰堂が描かれており、参詣に訪れた人のほか、笈摺(おいずり)と呼ばれる巡礼の格好をした人物が見られる。
笈とは修行者が移動時に背負った木箱で、巡礼の札や仏像、経典を書写したものなどを中に入れていたとされる。江戸後期に使用された「笈」のほか、西国三十三所観音巡礼の際、鳳凰堂に奉納された「巡礼札」の実物も展示する。木札には室町~江戸時代の年号が記されている。

なお、平等院は三十三所に含まれていないが、室町時代以前は現行路と異なり、三室戸寺が三十三番の「結願札所」だったため、近場にある平等院へ足を延ばす形で参詣したのではと推察されるという。
江戸の中期(18世紀)に入ると出版が盛んになり、刊行物により平等院の記述や絵図が紹介されていく。『都名所手引案内』(1763年)、『京名所独(ひとり)案内』(1786年)などは、持ち歩きできる携帯サイズで編集されている。

江戸時代後期に出た色刷りのガイドマップ『宇治名所古跡の図』は今回が初出展。鳳凰堂の付近で源頼政が自刃したと伝わる「扇の芝」のほか、宇治川の対岸には「宇治橋断碑」で知られる橋寺や通圓茶屋なども描かれている。
資料20点を並べる。会期中は無休。午前9時~午後5時。入館は無料だが、別途拝観料(大人700円、中高生400円、小学生300円)が必要。
