秋の茶どころ宇治を彩る行事、第74回「宇治茶まつり」=同奉賛会(堀井長太郎会長)主催=が5日に宇治川畔で開かれた。朝からぐずついた空模様で、時折小雨も降る天候だったが、市民や観光客らが川べりの散歩を楽しみつつ宇治の茶文化に触れた。
中国から日本へ茶の種を持ち帰った栄西禅師、宇治で茶の栽培を広めた明恵上人、茶道の礎を築いた千利休の功績をたたえ、茶業の発展を祈願する祭事。
午前9時すぎ、宇治橋三の間での神事が始まり、小倉茶業青年団の渡邊和正さんと福田大輔さんが釣瓶で「名水」を汲み上げた。その後、古式行列が平等院表参道、塔の島から朝霧橋を渡り宇治川東岸を進んだ。
興聖寺本堂に名水が奉納され、祭式開始。東宇治茶業青年団の山﨑省吾さんが植村修さんの介添えで茶壷口切りの儀を執り行った。新茶を石臼で挽く音が、静かな堂内に響いた。
奉賛会の堀井会長が「今日に至るまで名声が守られてきた宇治茶は先駆者の長年にわたる研さんの賜物。心から感謝の誠を捧げる」とする祭文を奉読した。献茶の後、栄西(ようさい)禅師が開いた建仁寺による誦経があり、参加者たちが焼香した。
表千家が同寺と府茶業会館で、市茶道連盟が宇治上神社拝殿で茶席を開き、侘び寂びの世界を演出。市茶業青年会による宇治茶飲み比べもあり、参加者たちが秋の情緒を満喫していた。