城陽市歴史民俗資料館「五里ごり館」で、JOYOエコミュージアム・文化パルク城陽開館30周年記念・秋季特別展『幕末・明治の錦絵~旅籠「松屋」所蔵資料』が始まった。会場には、長池宿の旧旅籠に残された幕末から明治期にかけての錦絵を初公開。当時の城陽市域に住んでいた人々がどのような文化・芸術を享受し、絵柄から時代の動乱を感じ取ることができる展示内容となっている。
城陽の地は、古都・奈良と京都中間点に位置し、人やモノ、情報が行き交う要衝として栄えた。江戸期には長池宿が置かれ、旧旅籠「松屋」に残る幕末から明治にかけての錦絵は、時代の動乱や社会情勢を感じ取れる資料として稀少価値の高いものとなっている。
錦絵とは、江戸期に流行した浮世絵の一種で、明和年間(1764~1772年)以降に広まった多色摺りの木版画のこと。
「松屋」は、江戸後期に伊勢神宮や大峰山など社寺参詣を目的にした『参詣講』の定宿として知られ、そこに残る「旅籠松屋関係資料」は京都府登録文化財に指定されている。
今回の秋季特別展では、そのうち幕末から明治期にかけての錦絵10点を初公開。落合芳幾作の「春遊源氏酒活花(はるあそびげんじのいけばな)」、豊原国周作の「江戸八景の内・不忍の暮雪」、歌川芳虎作の「光氏君遊覧之図」などを鑑賞することができる。
そのほか、松屋所蔵の錦絵には、役者絵・商人や花街、宮廷などを描いた明治期のものも残されており、当時の人々の暮らしや文化・芸術を伺い知ることができる。
さらに同志社大学歴史資料館から借り受けた「役者絵」「武者絵」、奈良教育大学図書館蔵の「上洛絵」、個人経営の大﨑歴史文化研究所蔵の「新聞絵」など幕末から明治期の作品合わせて実物30点、写真パネル14点が展示されている。
会期の途中で松屋所蔵の錦絵の入れ替え(5点ずつ)もあり、作品保護のため館内の照明はやや薄暗くしている。
特別展の会期は12月14日(日)まで。月曜日や祝日の翌日などは休館。「関西文化の日」である11月3日(月・祝)と最終日12月14日(日)は、誰でも無料で入館できる日とする。
なお、市歴民「五里ごり館」の開館時間は午前10時~午後5時。入館料は大人200円、小・中学生100円。ただし、市内在住小・中学生や65歳以上の高齢者、身障者手帳を有する人は無料となる。