【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】
今年は6月からの異常気象の猛暑がたたり、夏場恒例の行事でも暑さ対策などで大変でした。例年、7月は第一土曜日に今池川フィールドで水辺の生き物観察会を実施していて、実際に川に入っての魚やカメなどの捕獲確認による貴重な記録も、過去20年間で数多く残っている歴史あるイベントです。午前中の開催とはいえ、近年の猛暑で季節をずらそうにも週末日程の壁があり、6月はカエルの観察会に8月までは恒例の夏休みイベント、9月以降も「きょうと☆いきものフェス!」など大きな環境イベントが続いて日程的に余裕がない状況です。
対して、教育現場の環境学習指導などは平日イベントの利点があるものの、野外実習授業では独りでの対応が困難な場合も多々あり、協力者の人材確保の課題があります。城陽市の今池川と下流部の古川流域は、「城陽環境パートナーシップ会議」が主催する冬期の野鳥観察と初夏の水生生物の観察会フィールドとして知られていますが、近隣小中学校の野外実習授業の地としての歴史もあります。今年も10月14日に富野小学校の3年生たちと野鳥や昆虫、植物観察と共にカメや魚捕りを楽しみました。メダカやドジョウの他、ドンコにカマツカ、外来生物のタウナギとカダヤシなどを捕獲し、身近にもたくさんの生き物たちが生息していることを学んでくれたことでしょう。事前の室内授業はスッポンなど生きた教材を持参しての独壇場でしたが、野外実習当日はナチュラリスト仲間3人が駆け付けてくれ、それぞれ野鳥や淡水魚など専門分野の指導を担当し充実の実習授業を行うことができました。
10月はこの他に、宇治市立・西大久保小学校と北小倉小学校からの依頼にも応え、魚やカメの捕獲確認の水辺の生き物調査を含む野外実習授業を行っています。室内授業に野外実習の下調べと前日からの捕獲罠の設置や用具など諸々の準備。教諭との打ち合わせに子どもたちからの事前の質問への回答の作成、関連資料の用意などなど。かなりの時間と労力を要することがお分かりいただけることでしょう。こうした日々の忙しさもナチュラリストの特権と意気に感じて、孫世代のエコキッズたちの成長を願って嬉々として取り組んでいます。
今年最後の活動報告・下半期後編は、多忙を極めた10月の環境学習授業三連発と「エコキッズ科学教室」に「環境ふれあいフェス」のイベント報告だけでも満杯です。新たな外来種情報にスズメバチの巣の駆除や最後のマムシの捕獲、公園の毒キノコ顛末記といった危険生物バスターの活動と共に、ナチュラリストゆかりの旧友来たる!エピソードも紹介できずに残念です。本来なら全国版?ニュースのケリが市役所屋上で繁殖した経緯の概要では、来年度の日本鳥学会大会での研究発表ネタとしてあらためて詳細報告の機会をもちたいと考えています。イベント終いの「第24回城陽市環境フォーラム」の報告は、今回、市役所やコミセンで配布している城陽環境パートナーシップ会議の機関紙「城陽エコパートナー通信Vol.88」託して、慌ただしい活動報告最終便にお付き合い下さい。
◎多忙を極めた10月のイベントラッシュ
かつては近隣市町村から小中学校の環境学習指導の依頼が数多くあり、一年を通し社会人講師として招かれていましたが、ゆとり教育の見直しにコロナ禍の追い打ちで今では年間数えるほどになってしまいました。それまで「日本動物植物専門学院」において、鳥類研究や環境指標生物、自然保護に関する授業を受け持っていた経験を活かして、小中学生を対象にバードウォッチングに留まらない生態や雑多な生き物を取り巻く自然や環境に目を向け、自身で考え科学の扉を開くエコキッズに育ってほしいと願ってきました。そうした愛鳥思想を取り入れた指導が評価され、2010年に環境大臣表彰を賜ったことで環境学習指導と自然保護の啓蒙活動は生活の一部となってあらためてナチュラリストの使命を感じたものでした。
そんな環境学習における指導要綱や実際の取り組みとその成果の集大成を、所属する日本鳥学会で発表したのがもう20年も前の2006年度信州大学大会のことでした。当時、環境庁・鳥類観測宇治川2級ステーションの鳥類標識調査員・バンダーとして従事していたことから、自然観察会や野外実習授業にも取り入れていました。保護に不可欠な生態解明の調査であり、捕獲した野鳥を間近で観察でき、めったに見られない貴重な鳥との出会いなど、子どもたちに科学の目を開く取り組みと自負していましたが、一部愛鳥家のかわいそうとの感情的な批判があって自重した経緯がありました。
かたやカメの観察に、カエルやザリガニなどの採集から川に入っての魚捕りなど、保護と愛護を取り違えた人たちからの苦情もない現在の総合的な観察会スタイルとなっています。また、近年の傾向として、学校教育の現場においては、個人が特定できる写真の掲載は原則NGで、ヘビを持参するのも苦手な子への影響を考えて控えています。その分、サイエンスキッズたちとの交流や、生き物担当で指導に赴く「里の西保育園」の園児たちは、ヘビへの先入観もなく、興味深い生き物として直ぐに受け入れてくれ、こちらが癒されています。(写真①~③)
富野小学校の野外実習授業は、城陽市に生息する生き物たちを学んだ10月7日の室内授業の翌週14日に設定し、野鳥と昆虫に植物、魚とカメの4つグループに分けて学校から今池川まで、それぞれみんなで観察しながら歩きました。途中の公園では、国の花・桜の木の見分け方を学び、田んぼに残されたアライグマとイタチの足跡を確認しました。そして早速、昆虫班のリョウタ君がアカハネオンブバッタを捕獲し、2年前に当時の生き物クラブの堀井陽太君によって発見された城陽市初確認の外来生物と新聞にも載ったことを伝えています。そして魚班は、前日から仕掛けておいたカメ罠を引き揚げ、みんなで捕獲したカメの見分け方を学んでいよいよ川に入っての魚捕りです。今回はドンコなども捕れて上々の成果でした。(写真④~⑥)
鳥班担当の岡井勇樹君(写真⑦右)は、自身が小学校3年生の時に父さんに連れられて筆者の野鳥観察会に参加したのがきっかけで、鳥類標識調査にも同行して「日本鳥類保護連盟」から「子ども鳥博士」に認定された最適な講師で、有休をとって駆け付けてくれました。滋賀県大津市から駆け付けてくれた秋井信幸さん(写真⑦右2)は、40年来の鳥仲間でバードカービング作家です。2年前の環境フォーラムで展示頂き、11月に奈良市での作品展にも駆け付けています。魚班担当の竹野功璽さん(写真⑦左2)とも鳥友ですが、琵琶湖博物館で「日本一珍しい淡水魚」としてパネル解説があるタンゴスジシマドジョウの学名に関係している専門家で、自然観察会のメイン講師をお願いしています。
北小倉小学校では、10月2日の室内授業の日の朝にアライグマが罠にかかり披露しています。(写真⑧) 早速全員に配布した生き物ガイドブック・外来生物編2025が役に立ちました。10月5日は木津川市で「科学教室」(写真⑨) 9日は西大久保小学校の名木川生き物実習に、14日は北小倉小学校の野外実習授業と続きます。その間も7日と17日は地元の富野小学校の指導です。これら学校関係の催し物の他、各種イベントでもガイドブックと新作クリアファイル(写真⑩)をテキストとして配布できることは何よりの有効活用です。外来生物編はもちろん、植物編や希少生物編など以前のガイドブックも増版頂き、こうした総合的な観察会や研修会などのイベントに役立てられることは環境保護団体としての大きな評価につながることでしょう。来年2月11日の「京都環境フェスティバル」で完成披露のクリアファイル・野鳥編の完成も楽しみにしています。
さて、それぞれ学校近くの実習地に前日からモンドリの罠を仕掛け、網も人数分を揃えて、投網漁を披露しての獲物は毎回子どもたちの大きな歓声を届けてくれます。彼らの輝く眼が勲章で、これらの活動記録が何よりの財産でナチュラリストのモチベーションとなっています。(写真⑪~⑭)
そして26日の10月最後のイベントが、宇治市で開催された「環境ふれあいフェスタ」で、いつもの提示資料にミニ野鳥写真展のコーナーを設定し、今回ばかりは環境課事務局が中心となってカメの識別講座からガイドブックの解説と資料配布も、課長さんたち3人の大活躍に助けられました。(写真⑮⑯)
こうした10月の忙殺日程を乗り切り、年間最大行事と位置付ける「第24回城陽市環境フォーラム」では、ヘビやカメを持参で最後のお務めを果たしました。今回、「身の回りのマイクロプラスチック」の演題で基調講演いただいた大阪市立環境科学研究センターの中尾賢志博士を独り占めし、色々とお話を伺う機会を得られたことでまたひとり城陽環境パートナーシップ会議の心強いアドバイザーを得て新年への弾みとなりました。
迎える2026年も、フィールド最前線で活動できることを願って啓蒙活動に邁進してまいります。これからも変わらぬご支援を宜しくお願い致します。良いお年を。
















