【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

本紙新春号「ナチュラリストからの年賀状」に続いて、あらためての新年のご挨拶です。今年で当連載も20年目を迎え、郷土の希少野生生物の保護と環境保全の啓蒙活動に元気で取り組めることを願って、フィールド成果の最新情報の発信でナチュラリストの責を果たすことを目標としています。引き続き宜しくお願い致します。

さて、夏場の猛暑と自覚のない体力の衰えなど、今後は多くを望めないフィールド探査ですが、今年はスッポン漁と共にウナギ漁を楽しみに、林博之先生の京都府の魚類調査のお手伝いで貢献できることを願っている木津川川漁師です。昨年は京都府の希少野生生物に指定の絶滅寸前種・ダルマガエルの再発見があり、タカチホヘビにジムグリ・シロマダラの珍蛇御三家の揃い踏みという初の快挙もあって、コロナ禍以降足が遠のいている「日本爬虫両棲類学会」にも顔向けができる記録となりました。今春、全幅の信頼をおく爬虫類アドバイザーの疋田努・京大名誉教授が故郷の大分に戻られることとなり、懸案だった一緒に南山城村の巨大スッポン捕獲で再び日本一奪回!の野望が遠のいたのは残念ですが、まだまだあきらめずに夢の持ち越し課題としています。

年間行事とする外来生物と迷惑生物バスターはナチュラリストの務めですが、駆除が追いつかないアライグマの増加とシカの激増による著しい植生の破壊は頭が痛い難題です。昨年はヘビ罠でマムシを計6匹捕獲しましたが、今年はヘビ類の調査を兼ねて罠の増設を考えています。また、予算オーバーで製作を断念していたヌートリアの罠の試作にも取り組み、狩猟免許を大いに活かして期待に応えたいと考えています。自らも狩猟免許を修得して協力的な本城隆志市議は、一昨年来の侵略的外来生物・クビアカツヤカミキリの防御活動の力強い相棒として働いてくれています。

そして今年は、鳥人ナチュラリストとして復活宣言です。近年の「城陽環境パートナーシップ会議」主催の野鳥観察会や小学校の野外実習授業では、岡井勇樹君や竹野功璽さんに秋井信幸さんといった自慢の愛弟子や鳥友が講師を務めてくれ、鳥類分野では出る幕もありませんでした。かつて「日本鳥類標識協会大会」で、西日本ベストバンダー表彰を受けたナチュラリストも、爬虫類派に宗旨替えして久しく鳥類研究から遠ざかっていましたが、鳥学会の尊敬する兄貴分の長谷川博・大アホウドリ先生との再会で、40年も前の当時の若き自分自身からの熱いエールが届いてバードウォッチャーに再登録です。

こうして迎えた2026年、元旦の初見鳥は木津川河川敷フィールドでのオオタカでした。鳥人ナチュラリストの代名詞とする巨椋池干拓田のコミミズク研究と共に、関西学研都市のオオタカ保護活動の成果ゆかりの鳥に出迎えられ縁起の良い門出となりました。活動母体の城陽環境パートナーシップ会議の年間最大行事のひとつ、2月11日の「京都環境フェスティバル」」での発表を控えて、今年も元気に始動の新年の活動報告、フォトレポート前編にお付き合い下さい。

◎令和8年1月の活動日記・前編

今年も富士鷹なすびさんから楽しい年賀状が届きました。(写真①) 城陽環境パートナーシップ会議の年間最大行事・城陽市環境フォーラムで、野鳥イラスト100点にも上る原画展を開催したのは2012年度のことでした。この年、日本鳥学会100周年の東大記念大会で、配布資料の表紙イラストを描いて頂いた富士鷹なすびさんと、脇坂英弥君に大植登先生・竹内康先生たちと「南山城鳥類目録」を演題に研究発表したことを思い出しています。鳥人ナチュラリスト復活の今年、富士鷹なすびさんのユーモアバードがイベントに華を添えてくれます。ご期待下さい。

例年の初詣の荒見神社では、過去に3度もフクロウが保護されたことがあり、2年前から巣箱を設置していますが未だに成果がありません。また昔から白蛇が目撃されている所で、マムシの駆除を名目に神の使徒とされる瑞祥のお宝生物との出会いを密かに期待し、生き物に造詣が深く理解のある宮司の青山浩然さん(写真②)にビッグニュース発信でお応えできることを祈願しました。

木津川フィールドでは、1983年から週に2回の定期調査を行い、籠抜け鳥を含む220種類もの野鳥の生息を確認してきましたが、この数年間のブランクで河川敷の環境変化が著しく、散策路がブッシュに埋もれ、改修工事で立ち入れない区域や竹藪の荒廃も見られて残念に思いました。2時間半の調査ルートで確認できた野鳥も初見鳥のオオタカはじめ18種類と振るわず、今年1年をかけて好フィールドの変遷を記録していきます。(写真③④⑤)

フィールド探査と共に博物館や水族館・動物園巡りをライフワークとする筆者、1月7日には兵庫県立・人と自然の博物館の「昆虫展」で、クビアカツヤカミキリ最近情報をチェックしてきました。(写真⑥⑦⑧) ここには元祖ナチュラリストの小林桂助先生のコーナーがあり、筆者が中学生の時に出会って野鳥に興味を持った「コバケイ図鑑」の著者の先生と共に、淡路島で勃発したオオタカの鶏への食害問題で県と環境省から現地調査に招へいを受けた鼻高々のエピソードもあり、毎年追善供養の報告に訪れています。(⑨⑩)

また、2011年5月に木津川で甲長38.5cm・7.3kgの当時日本最大の大スッポンを引き揚げた折、須磨海浜水族園の亀崎直樹園長に引き取られて展示後、日本爬虫両棲類学会の元会長の太田英利・兵庫県立大学教授の人と自然の博物館で学術標本となったゆかりの地でもあります。いつもは宝塚市の「手塚治虫記念館」とセットで巡るのが通常ですが、昨年暮れに大阪のハルカス美術館で開催していた「ブラックジャック展」を堪能してきたこともあって、ナチュラリストのもうひとつの趣味・鉄道マニア全開で神戸電鉄乗りつぶしでリフレッシュしてきました。(写真⑪)

車中の缶ビールも最高ですが、志を同じくする仲間たちとの祝杯は明日への糧となる楽しみな懇親の場です。今年も城陽環境パートナーシップ会議の盟友たちとの新年会でアルコールメーターが上がりました。(写真⑫)  例年11月末の城陽市環境フォーラムのアフターは、基調講演のメインゲストを囲んでの我が家名物・天然スッポン鍋の会でしたが、今回は筆者とは別ルートの地球環境部会での講師依頼で、「身の回りのマイクロプラスチック」の演題でご講演いただいた大阪市立環境科学研究センターの中尾賢志先生(写真⑬右2)とは初対面でした。それでも、畑違いの研究者とも共通の知人など思わぬ接点がたくさんあって、小林駿・運営委員共々話が盛り上がり、またひとり頼もしいアドバイザーを得る機会となりました。(写真⑭)

そして1月13日には「くらべてみる爬虫類図鑑」が出版され、著者の川添宣広さんに木津川でのスッポン漁を取材頂いた経緯もあって、今回も写真が掲載され定価5500円の豪華本の献本を受けています。(写真⑮) フィールド派の筆者も頭が下がる両生・爬虫類の専門家で、その著書も数十冊に及びます。やましろ里山の会のカスミサンショウウオの調査にも来て頂き、城陽環境パートナーシップ会議の琵琶湖博物館への研修会でもお世話になりました。川添さんは我が家のスッポン鍋の会にも度々招待し、自身でも進呈した木津川産の天然物と静岡の養殖物を取り寄せて名古屋の料亭で食べ比べの会を開催され、嬉しい最高の評価を頂いて箔が付きました。

こうしたスッポン鍋やシシ鍋を囲む「自然の恵みの会」もコロナ禍以降は自重し、スッポン漁も控えていた経緯がありましたが、昨年の6月に緑書房から出版された「はっけん!スッポン」で「スッポン漁の歴史とモンドリ漁」と題して執筆していました。(写真⑯)著者・編者は元京都水族館副館長の関慎太郎さんと元神戸市立須磨海浜水族園園長の亀崎直樹さんの、共に我が家名物天然スッポンの味を知る日本爬虫両棲類学会の同好の士です。古くは歴史家の奈良本辰也先生や、動物行動学者の日高敏隆先生の祝宴の席のメインを飾った我が家伝統の料理を、絶やすことのないよう決意も新たなロートルナチュラリストの新春です。以下次号で。