発熱確認後の動作、実践/宇治市 避難所のコロナ対応訓練
防護服姿で軽症者を問診する市職員(右)

宇治市は10日、避難所運営における新型コロナウイルス感染症対応訓練を、うじ安心館で開いた。避難者の受付、発熱確認後の隔離、問診など一連の動作を確認。避難所を開設する地区班の職員からは対応の難しさを指摘する声が出た。
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、市は「避難所運営における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」を作成。避難所開設に従事する地区班メンバーらに対する研修を踏まえ、初めての実践訓練を行った。
市では災害が迫っている時、市立小・中学校32校に「指定緊急避難所」を開設するほか、新たに最大6カ所の「発熱者等用避難所」を開設する方針。この日の訓練では大型台風が接近したため、この2つの避難所を開設する、と想定した。
避難所に到着した地区班の職員2人は、3密(密集、密接、密閉)を回避するため、社会的距離2㍍確保を前提にしたレイアウトでブルーシートを敷くとともに、軽症者用の間仕切りテントを設営。新規で40張購入した屋根のある発熱者等テントを設置し、中には段ボールベッドを組み立て、受入態勢を整えた。
避難者は8人(うち重症者1人、軽症者1人)で、避難所入口で検温を行い、発熱があれば咳の有無などを確認の上、隔離スペースに誘導。発熱がない人とは動線を分け、受付簿の作成も行った。
地区班員の一人はガウン、フェイスシールド、手袋を身に着け、発熱者に対して距離を取りながら問診。最初に重症者のテントに入ってしまい、危機管理室から「(重症者がコロナ感染者で地区班員を介して軽症者に移してはいけないので)まずは軽症者から」と誤りを指摘する声も飛んだ。

テントで休む発熱者の情報を救急隊員に説明

問診の結果は、もう一人の地区班員に口頭で伝えたが、危機管理室は「2人の距離が近い。寄らないで」と指導する場面もあった。2人の症状を災害対策本部に伝えた上、軽症者は発熱者等用避難所に移送、重症者は病院に救急搬送。防護服に身を包んだ地区班員は、2人が使用したテント内部を消毒して次に備え、感染しないよう注意しながら防護服を脱いだ。
濱岡洋史・危機管理監は「いろいろな反省点があったと思う。訓練は、あとの振り返りが大事。みんなで情報共有し、必要に応じてマニュアル改訂を進めたい。いつでも動けるよう、心構えを」と講評した。
訓練後、地区班員は「ソーシャルディスタンスに気を付けていたつもりだったが、同じ地区班員との間で近くなる場面があった。問診結果も口頭ではなく、問診票のみを渡す形にすべきだった。想定より難しかった。自身が感染源にならないよう動く必要がある」と振り返った。