京田辺市にある農福連携センター「さんさん山城」(新免修施設長、藤永実センター長)=興戸小モ詰=は、「農福連携で地産地消、廃棄ゼロ」の取り組みが評価され、第8回グッドライフアワード環境大臣賞(部門賞)を受賞した。同省主催の環境と社会によい活動を応援するプロジェクト。東京・渋谷で今月5日に表彰式があり、さんさんの日ごろの取り組みや方向性を説くプレゼンテーションに笹川環境副大臣らが注目を寄せた。
聴覚や身体、知的障害がある利用者らが活動する就労支援施設「さんさん山城」は、少子高齢化が進む時代に、担い手が不足する農業と障害者雇用の充実を目指す福祉の両分野を結ぶ先駆け、架け橋となっている。
生産物や加工品の質と信頼度をさらに高める「ノウフクJAS」「ディスカバー農山漁村の宝」「JGAP」の認証、選定が続き、国内外の官庁やマスコミの注目度は上昇の一途をたどる。
今年度のグッドライフアワード(GLA)には、ローカルSDGsを体現し、地域環境共生圏づくりにつながる取り組みに挑む企業や自治体、学校、NPO、個人などの応募193件があり、その中から環境大臣賞10団体(最優秀1・優秀3・部門6)を選出。渋谷スクランブルホールの式で、受賞10団体がプレゼンテーションを行った。
「農福連携で地産地消、廃棄ゼロ」をタイトルに掲げたさんさんは、「障害者がやりがいを持ち地域特産にこだわる農業の第6次産業化を展開する」日ごろの様子を紹介。JAへの出荷をはじめ、併設カフェや付加価値が高い加工品販売などの環境にやさしい廃棄ゼロ活動をアピールし、地元の児童養護施設の子供たちへ農業体験の機会を提供する模様も伝えた。
開設以前から携わる職員の植原優さんがGLA初の手話によるプレゼンを繰り広げ、新免施設長は「エビイモのズイキを商品にし、規格外をランチに使う。通常廃棄されるものを有効活用している。元厚労次官の村木厚子さんを招いた児童の取り組みも社会貢献の一環」などと付け加えた。
交流会では、雑誌編集者ら幅広いジャンルの審査員と歓談。笹川博義環境副大臣、中井徳太郎事務次官、総合プロデューサーの谷中修吾さん(ビジネス・ブレークスルー大学大学院教授)らとも会話が弾み、さらに資料を求められたという。10団体のうち近畿・中国・四国地方で唯一の受賞だ。
新免施設長は「プレゼンでは動画も交え迫力を増し、感動を得られた。500円で特産が食べられるランチを提供し、機会がない市民も触れることができる。障害者は受け手でなく主体。専業農家でできないことができる」と声を強める。