地元3市3町で唯一、2年連続で年度当初の国基準待機児童が発生している城陽市で6日、京都府保育人材マッチング支援センターと同市による「保育士就業サポートアップ研修会」が開かれた。女性活躍の時代を迎え、少子化の中でも保育ニーズは確実に高まるとみられ、保育資格を有している人や結婚・子育て一旦、離職した人の復職が今後、さらに求められそうだ。
児童福祉法により市町村には「保育の実施義務」が課せられている。そんな中、城陽市では、2019年10月から国の施策として幼保無償化が開始されたことや、新名神全線開通を追い風に、市内でサンフォルテ城陽、白坂テクノパークという2つの工業団地が本格稼働したことで、特に女性の働き口が増加。これらの影響で、19年度は49人、今年度も2人が国基準(特定の保育園を指定していないのに入所できない)待機児童となった。
この喫緊の課題に対応するため、同市は「2020年度から行える施策」として市内2カ所に小規模保育事業所(0~2歳児・最大定員19人・民設民営)と、1カ所に中規模保育所(定員80人・民設民営・用地は市が無償貸与)を整備する方向を打ち出した。
その成果として昨年5月、学校法人広野学園(吉村裕理事長)=宇治市広野町=が、寺田水度坂に小規模保育事業所『広野幼児園』を開設。ただ、2カ所目の小規模事業所開設や中規模保育園の用地選定が難航しており、思うようにハード整備は進んでいない。
その一方、マンパワー(保育士)の確保も待機児童対策として重要なポイント。6日、同市南部コミセンで開かれた「保育士就業サポートアップ研修会」には、保育資格を有する10人=居住地・城陽市4人、京都市4人、八幡・京田辺市各1人=が参加し、早ければ今春からの就職へ向け、保育現場の現状について認識を深めた。
会場では、清心保育園の吉村智子主任が「最近の保育事情」、京都文教大学こども教育学部の柴田長生教授が「保育士として必要な対人援助とは」をテーマにそれぞれ講義。さらに日赤京都府支部事業推進課の前田ゆかり課長による「幼児安全法短期講習」の演習も行われた。
同支援センターによると、今年度の保育士就業サポートアップ研修会は、新型コロナウイルスの影響で、府内では、この日の城陽会場1カ所のみ。「一時離職した有資格者より、新規に就職を目指す若い参加者が多かった」という。
なお、城陽市では、市内で保育士として働く人を支援するため「奨学金返還支援」(月額最大1万5000円)、「宿舎借り上げ支援」(月額最大4万5000円)の新制度を始めており、詳しくは市子育て支援課℡56‐4035まで。