京都府内最大のウメの産地で、その歴史は鎌倉末期から約680年を誇る城陽市の青谷梅林で、梅干しや梅酒、お菓子づくりに人気を博す大梅の収穫が本格化している。5月中旬の小梅を皮切りに、早生品種の大梅を終え、今は梅干し用としての需要が高い『南高梅』、そして完熟での収穫に徹する特有種『城州白(じょうしゅうはく)』と続く。7月上旬ごろまで、生産農家では忙しい日々が続きそうだ。
城陽市内では、青谷梅林を中心に、約50戸の農家が総面積20㌶の畑でウメの木を栽培。年間の総収穫量は90㌧に上る。
今シーズンは、ウメの実の生育は、平年より1週間ほど早い。梅雨入りが早く実の収穫前に適度の雨が降り、それほど霜害もなかったため、肌もきれいで出来は上々のようだ。
生産農家の一人で、今年3月の接ぎ木講習会=JA京都やましろ城陽支店果樹園芸部会主催=では講師を務めた池野勝信さん(68)=同市中出口=が所有する梅林でも、例年より約1週間早く先月19日から小梅の収穫を始め、今月に入り、早生の大梅『鶯宿(おうしゅう)』や『白加賀』を収穫。
暑さがグーンと増した今週初めからは梅干し用としての需要が高い『南高梅』そして、今月18日ごろからは青谷梅林の特有品種『城州白』の実を収穫する予定という。
池野さん方では、大梅『鶯宿』『白加賀』は主に京都市伏見区の酒造メーカーに梅酒用として出荷。『南高梅』は市内の漬物店や自家製用、完熟を原則とする『城州白』は、主に大量出荷先である城陽酒造・おうすの里などに納品する。
池野さん方では、妻・淳子さんと後継者である長男・元紀さん、奈緒さん夫妻の家族4人で、中地域にある梅林10カ所・計1㌶の管理を行っており、今の時期は出荷前日の朝6時ごろから、勝信さんが先陣を切って梅畑での収穫作業を始め、その後、3人も加わり、午後からは農小屋の中で選別・出荷作業を行っている。
市消防本部を退職して、ウメ栽培に取り組み12年目という池野さん。昨年は、晩生の城州白が不作で大打撃を受けたが「今年は平年作、実の出来も良さそう」と、ホッとした表情を見せた。
おおよそで年7~8㌧のウメの実を収穫するといい、南高梅のピーク時には、一日約200~300㌔を収穫し、大きさはS~4Lまでの6種類に選別して出荷している。
梅畑の一角では、接ぎ木した苗木を育てることにも取り組んでおり、勝信さんは「需要のある小梅や城州白を増やしたい」と、生産にさらなる意欲を示している。