宇治市の松村淳子市長は18日、次期都市計画マスタープラン(2022~42年度)に盛り込む方針の3カ所の『産業立地検討エリア』のうち、国道24号沿道地区(安田町鵜飼田)への産業立地を優先的に取り組む考えを、市議会6月定例会の一般質問で明らかにした。大手企業の進出意向が明らかになっているが(本紙6月18日付既報)、松村市長はマルチテナント型物流施設を運営している事業者であることを明言。今後、農地の開発に向けた規制解除、農業振興策にしっかり取り組む考えを示した。
人口減少や少子高齢化の進行などを踏まえ、市は産業戦略(2019~21年度)を策定。働く場の創出に向け、新たな工業用地の確保を掲げており、宇治商議所と共同運営する『宇治NEXT』で市内企業の市内での移転・拡張意向、市外企業の進出意向について調査してきた。
新たな工業用地確保の具体化に向け、市は次期都市計画マスタープランに3カ所の『産業立地検討エリア』を設定することにしている。具体的には▽国道24号沿道地区(約49ヘクタール、安田町鵜飼田)▽市道宇治槇島線沿道地区(約20ヘクタール、槇島町月夜)▽市道宇治白川線沿道地区(約16ヘクタール、白川)。いずれも市街化調整区域で現状は農地、山林となっており、産業立地用地に転用するには国、府など関係機関との調整、協議が必要となる。
一般質問の中で、松村市長は「少子高齢化の進行、若年層の流出など人口減少が急激に進む中、今後のまちづくりを進めるにあたっては、将来にわたって持続・発展できる強い市内産業をつくり、多様な働く場を創出することにより、定住人口の確保や市民の豊かな暮らしを実現することが重要。産業戦略に位置付けた『新たな工業用地の確保』が急務でポストコロナを見据え、できる限り早い時期の用地確保が求められる」と強調した。
その上で「市外に拠点を持つ事業者から、新たな工業用地に関する様々な問い合わせや相談が寄せられ、なかでもマルチテナント型物流施設を運営する大手事業者から『広域幹線道路へのアクセスの利便性が高い地区』への進出意向が示された。地域経済や地元雇用への貢献などを総合的に判断し、最も早期に事業効果が期待できる国道24号沿道地区への産業立地を優先的に取り組みたい」と述べた。
さらに「当該エリアは農用地区域であり、規制解除が受けられるよう、国や府に、しっかりと働き掛けを行い、取り組んでいきたい。あわせて、農業振興策についても後退することなく、しっかり進めていく必要がある。工業と農業のバランスのとれた成長、発展に向け、しっかり取り組む」との決意を示した。
最後に「当該エリアにおける『新たな工業用地の確保』は、将来にわたって市の発展につながる起爆剤となる大きなチャンスと捉えており、その実現に向けて国や府と綿密な連携を図りながら着実に進めていく」と力を込めた。