宇治田原町の曹洞宗・禅定寺(久保敬童住職)で、京都府指定文化財である本堂の「茅葺き屋根」保全作業が始まり、まずは日照の関係から水はけが良くなく、痛みが目立っていた北面の修復が完了した。
禅定寺は東大寺正法院の末寺として995年にお堂が完成。当初は華厳宗の寺院だったが、1071年に平等院の末寺として天台宗に改宗。摂関家の庇護で発展したのち、1680年に加賀大乗寺の月舟宋胡(げっしゅうそうこ)が再興。曹洞宗の寺院として諸堂の整備が進められ、木像十一面観音立像(重要文化財)など平安時代の古像が多数残されている。
府文化財として2014年に本堂と仁王門が指定、観音堂と庫裡(くり)が登録されており、月舟禅師生誕400年となる2018年には、観音堂の壁や屋根などの大規模改修が行われた。
本堂は、1719年建立とされ、全国でも珍しい茅葺きの平屋建てで、内部には6室。「六間取方丈形式」と呼ばれる様式となっており、大型屋根の小屋組構造が技術的にも注目されている。
屋根は1983年に60年ぶりの全面葺き替えが行われ、その後2003年から4年間をかけて修復。今回は府2分の1、町4分の1補助の文化財修理・保存事業として北面の修復から始まり、8月19日から今月20日までの工期で無事、葦(よし)を用いた葺き替えが完了。棟の竹具も取り換えられ、秋の日差しに艶光っているようにも見える。
来年度以降に、東西と南面の修復が順次行われていく予定。