日本一早い2022年『初摘み・手もみ新茶』が5日、宇治市宇治山田の「福寿園・宇治茶工房」で仕上げられ、地元の名士らが新春の一服を堪能した。
この日は、まず関西文化学術研究都市にある福寿園CHA遊学パーク温室茶園で、恒例となった初摘みが行われ、ごこう品種の生葉を約3㌔収穫した。
これは「れき耕栽培」と呼ばれるもので、約100平方㍍のガラス温室内は天窓自動開閉、全自動保温、遮光カーテン、温風設備によって制御され、細かい穴を開けた小石を敷き詰めて茶木を栽培、パイプから水と肥料を染み込ませていく。
春の気象条件に合わせて細かい霧も噴出され、環境を微妙に変えることでニーズに応える茶を作り出すことも可能。11月下旬から夜間も蛍光灯をつけ、「深い休眠状態」にさせなない中で育てると、12月3日に萌芽した。
その新芽は柔らかく、まろやかな味と爽やかな香りがあるといい、福井正興社長と福井正憲会長らが初摘みの儀を行い、茶の開祖である栄西禅師と会社創設者の像にお供え。
このあと白衣の研究員が摘んだ茶葉は夕刻、宇治市宇治山田の朝霧橋たもとにある「福寿園・宇治茶工房」に運ばれ、手揉みによって仕上げられた。
「今年も新年早々、蓄えていたエネルギーを一気に放出させるかのように青々とした芽を吹かせてくれました。この若々しさに満ちた自然の恵みを私たちは頂戴し、日本茶に仕上げています。お茶は喉の渇きを潤すだけでなく、人を元気にし、生活を豊かにし、人生に潤いを与えてくれます。こんな素晴らしい飲み物は他に類を見ません」と感謝の意を新たにした福井社長。
急須で淹れる宇治茶文化と、伝統技術を守り育て、多くの人に伝えていこう―と「体験」に力を入れている、この工房で会長と黄檗山萬福寺の近藤博道管長とともに仕上げ工程の板ずりを行った。
そして、この新茶を味わう初茶会は、工房内の茶室「華松庵」で催され、宇治神社の花房義久宮司、平等院の神居文彰住職、京都府山城広域振興局の稲垣勝彦局長、宇治市観光協会の中村藤吉会長、朝日焼の松林豊斎窯元ら地元を代表する顔ぶれが、二條流による和みの一服で、新緑の息吹きを感じ取った。