創業160年余りの老舗茶商・中村藤吉本店の中庭で、名木クロマツの支柱の取り換えと修繕工事を行っている。剪定は毎年行っているが、工事は約10年ぶり。
木は宇治市名木百選の一つで、高さ約6㍍。長年にわたり人為的に整形された、いわば「巨大盆栽」。主幹はまっすぐ上に、分岐した幹が東西方向へ伸びる構造となっている。
同店によると、2代目藤吉が家業安全を祈願して植えさせたもので、全体が帆を立てた船のように見えることから宝来舟松(ほうらいふなまつ)と呼ばれる。東方向の幹が長くなっているのは「吉方へ向かう」縁起担ぎの意味が込められているという。
現在、クロマツを支える竹組みの柱と、木製の支柱を取り換える作業が進行中。鉄製の柱では「しなり」がなく木を傷めてしまうので、新しい長竹を30本以上準備し、はじめに垂直部分の竹柱を交換した。
17日は、水平方向に伸びる幹の支柱を入れ替えた。工事担当者たちが、大型のスコップで土を掘り返したり、幹と柱をしゅろ縄で結んだりして、慎重に作業を進めた。
樹齢は約250年。6代・中村藤吉氏(70)らは「松は500年生きると言われているので折り返しですね。大掛かりな工事で費用もかさみますが、ご先祖様から受け継いだものなので、大切に残していきたいです」と話していた。
工期は19日までで、来週に完成の見込み。