宇治市宇治折居の宇治茶会館で22日、「宇治茶と健康セミナー」が開かれ、抹茶の新たな魅力発見をテーマに4人の大学教授らが研究成果を報告した。オンライン中継により約220人が参加した。
府と府茶業会議所(堀井長太郎会頭)が主催。宇治茶(抹茶)には、リラックス効果や疲労回復機能など各種の健康作用があることをふまえ、府内の大学や茶研などが参画する「宇治茶機能性コンソーシアム」の研究者が講演した。
京都工芸繊維大学の鈴木秀之教授(応用生物学)は、体内細胞が増える原因物質の一つ「スペルミジン」について取り上げ、肝臓や腎臓の保護、認知機能の改善など長寿効果を示す先行研究を紹介した。
鈴木教授は、スペルミジンは加齢により体内では作られにくくなるため、同物質を多く含む食品を摂取するのが有効だと指摘。あらゆる食品の中でも、碾茶や煎茶などの「茶葉」には比較的多くのスペルミジンが含まれるとした。
また、松ケ崎地区の菜の花漬けから発見された乳酸菌は、胃酸に耐えて腸まで届く性質があり、茎茶の成分と合わせることで、スペルミジンを腸内で合成するようなサプリメントを作れる可能性が示せた…と結論付けた。
府立医科大の濵口真英講師(内分泌・代謝内科学)は、抹茶の継続的な飲用で動脈硬化をもたらす菌を抑制できるとの成果を動物実験で確認。同大学の的場聖明教授(循環器内科)は、高品質抹茶の飲用で善玉コレステロールが増加し中性脂肪が減少するとともに、肌にも良い影響がある…と述べた。
府立大の久保中央教授(農学生命科学科)は、遺伝子やDNAの分析を活用して、数十年かかると言われる宇治茶の品種改良のスピードアップが可能になるとし、茶の樹を遺伝子レベルで選び出す方法について解説した。