社会福祉法人うめの木福祉会(秋月満雄理事長)が運営する城陽作業所(辻村憲隆施設長)=奈島川原口=の新施設が完成。利用者の引っ越し作業も終え、本格稼働に向けて備品搬入などが行われている。来週11日には、竣工式が行われ、関係者に分かりやすく一体感のあるユニバーサルデザインを採用した新施設をお披露目。誰もが安心していきいきと暮らせる地域福祉の充実を喜び合う。
城陽作業所は1977年に市民有志で農家の納屋を借り受けて自主開設。市社協が引き継ぎ運営にあたった。
その後、市から用地を無償で借り受け、旧作業所の建設工事に着手。うめの木福祉会の法人認可とともに78年6月に知的障害者授産施設としてオープンした経過がある。
さらに、うめの木福祉会は短期入所事業所指定を受け、利用者が住まいするグループホーム和みの家(あいあい、第2あいあい)を地元、青谷地域に整備。元JA京都やましろ青谷支店跡に「市辺分室」を開設するなど、福祉ニーズに対応した運営の充実策を展開。2008年の障害者自立支援法施行により「生活介護(定員20人)、就労継続支援B型(定員10人)」施設として陶芸(ほうらく・干支の置物)・食品加工(クッキー作り)・縫製作業などを通じて、利用者に知識で働くことの素晴らしさを実感してもらっている。
今回は、施設の老朽化に伴い、2017年に法人が策定した社会福祉充実計画に基づき、新施設の建設を進めてきた。
旧施設の約2倍となるフロア面積は、鉄骨造2階建てで約910平方㍍。総工費は約4億500万円で、そのうち約1億2800万円は国庫補助金で賄い、残りは長年にわたり積み立ててきた自己資金と借入金となる。
新城陽作業所の特徴は、中央に幅を広くした階段を設置し、分かりやすく施設の一体感を持たせる構造(ユニバーサルデザイン)としたほか、2階に南向きのバルコニーを設け、いざという災害時にも、そこから利用者を救出できるようにした。
そのほか、日中作業にあたる「生活支援室」「縫製作業室」「食品加工作業室」「下請け作業室」のいずれもが十分な広さを確保。身障者仕様のエレベーターや未使用の場合に扉が空いたままとなる男女別トイレなどを完備している。
これにより、定員は、生活介護47人、就労継続支援13人に増える。
壬生寺に納める「ほうらく」や干支の置物で知られる陶芸班の作業は、市辺分室で行うこととし、作業の分散効率化を図る。
ゴールデンウイーク前の先月末、利用者の引っ越し作業を終え、今月11日(水)には、府知事(代理出席予定)や城陽市の奥田敏晴市長、谷直樹市議会議長らを来賓に迎え、コロナ感染防止に配慮した形で竣工式を行う。
辻村施設長は「時代が移り変わっても、地域の福祉課題に真摯に向き合い、その解決に貢献することが法人の願い。『手とてをむすぶ』という理念に基づき、これからも一つの手に、多くの『て(支援)』を結び付けたい」と意欲を示している。