大梅の収穫本格化/城陽・青谷梅林
南高梅の収穫作業に追われる池野元紀さん

京都府内最大のウメの産地で、その歴史は鎌倉末期から約680年を誇る城陽市の青谷梅林で、梅干しや梅酒、お菓子づくりに人気を博す大梅の収穫が本格化している。5月20日から採り始めた小梅を皮切りに、早生品種の大梅を経て、今は梅干しとしての需要が高い『南高梅』の収穫真っ最中。今月20日ごろからは完熟での収穫に徹する特産『城州白(じょうしゅうはく)』の実を採り始め、7月上旬の七夕ごろまで、生産農家では忙しい日々が続く。
城陽市内では、青谷梅林を中心に、約50戸の農家が総面積20㌶の畑でウメの木を栽培。年間の総収穫量は90㌧に上る。
今シーズンは、ウメの実の生育は、平年より数日早いという。実の収穫時に適度な雨が降り、ウメ栽培には最適な気候条件。ただ、現時点では、実の品質は良いものの「収量は平年並み」を見込んでいる。
生産農家の一人、池野勝信さん(69)=同市中出口=が所有する梅林でも、例年よりやや早めに小梅の収穫を始め、6月に入り、早生の大梅『鶯宿(おうしゅく)』や『白加賀』を収穫。
今週初めからは梅干しとしての需要が高い『南高梅』そして、20日ごろからは青谷梅林の特有品種『城州白』の実を収穫する予定という。
池野さん方では、大梅『鶯宿』『白加賀』は主に京都市伏見区の酒造メーカーに梅酒用として出荷。『南高梅』は市内の漬物店や自家製用、完熟を原則とする『城州白』は、主に大量出荷先である「おうすの里」「城陽酒造」などに納品する。
池野さん方では妻・淳子さんと、後継者である長男・元紀さん(40)、奈緒さん夫妻の家族4人で、中地域にある梅林10カ所・計1㌶を栽培管理している。
今の時期は出荷日(前日の場合もあり)の朝7時ごろから、勝信さんが先陣を切って梅畑での収穫作業を始め、その後、3人も加わり、午後からは農小屋の中で選別・出荷作業に従事する日々。

機械を使い、梅の実の大きさを5種類に選別する

池野さんは、城陽市消防本部の元職員で、退職後、ウメ栽培に取り組み『城州白』に生産拡大のため、接ぎ木の方法を他の農家に伝授するなど梅林振興に努めている。相変わらず、シカ被害などは深刻というが、今年もおおよそで7~8㌧のウメの実を収穫できそう、と話す。今は『南高梅』の収穫のピークを迎え、多い時は一日約300㌔の実を収穫し、大きさはM~4Lまでの5種類に選別して出荷している。
梅畑の一角では、接ぎ木した若い城州白の苗木を育てており、池野さんは「今年は10㌃ほど城州白の梅畑を増やす予定。5年後には実が収穫できる」と、生産にさらなる意欲を示していた。