宇治市白川の白山神社で18日に秋の神事が執り行われ、本殿前に古来伝わる当地ならでは「百味の御食(ひゃくみのおじき)」を3基供えた。
宇治茶の産地として名高い白川区(小島確二区長、約100世帯)の秋祭りの一環。
新型コロナウイルスの影響で子ども神輿は3年連続で取りやめるが、お供えは途絶えさせない。
今年も、神様に五穀豊穣を感謝し、古くから自然に恵まれる中で、収穫した稲を5種類、お茶の葉は15種類、野菜・果物など100数十種類を用意した。
毎年、同区内の3軒が「当家(とうや)」と呼ばれる御膳番を持ち回り、準備に当たる。
今回は、服部利行さん・照代さん、勢川孝雄さん・晴子さん、鎧塚隆さん・桂子さんの3夫妻が当家を務め、新装なった白川集会所で17日午後に仕上げた。
鎧塚さんは「昨年は130種類の野菜が使われた。事前にリストを挙げ、地元の自家製を中心に揃える。材料を集めるのは大変」と苦笑いを浮かべる。
どっしりとした形状の菊座かぼちゃをベースに、小ぶりな、あるいは小さめにカットした根菜類や果物などの数々をつる草の一種であるマンポに通して差し込んでいく。
近年では、硬い皮にドリルで穴をあけているが、それまでは桐を使い地道な作業を進めていた。
中央上部にイネを広がるように突き立てて完成。
華やかで見栄えする、美味しそうな御食―が当地流という。
八角豆腐、小餅、赤飯、お神酒とともに供えられ、ならわしでは、御食と八角豆腐を川に流して、感謝と願いを天に届ける―とも。
深夜1時に白山神社までの76段の石段を抱えて登り、神前に供えた当家の面々。
鎧塚さんは「以前は、川に流しに行っていたが最近はできないしやらない。かぼちゃは種を返して、また作ってもらっている。近くの山に生えるマンポの葉は2週ほど前に取っておき、干してから使う」と準備の一端に触れる。
しばらく集会所に飾り置き、「行き来する子供たちにも見てもらいたい」と呼び掛ける。