「さわやかに・笑顔で合図・ゆずり合い」をスローガンとする今年度の「春の全国交通安全運動」が11日から始まった。期間は20日(土)までの10日間。宇治署は久御山町内で自転車の安全利用に主眼を置いたスタート式を開いた。
今回の運動の重点は▽子供を始めとする歩行者の安全確保▽横断歩行者事故等の防止と安全運転意識の向上▽自転車のヘルメット着用の交通ルール遵守の徹底の3点。ドライバーには歩行者を優先する「はんなり運転」で、「落ち着いて歩行者を保護する」ことを求め、歩行者には手のひらと顔を運転手に向ける「合図横断」で、「渡りたい」という意思を伝えることを勧めている。
同運動開始に伴い、宇治署では11日、先月から自転車運転者のヘルメット着用が努力義務化されたことや、自転車が関係する事故が増加傾向にあることから、「守ろうルール・かぶろうヘルメット」と銘打ったスタート式をコーナン久御山南店=佐山籾池=の駐車場の一角で開いた。宇治署員や、宇治と久御山の交通安全対策協議会員、宇治・久御山地域交通安全活動推進委員協議会会員ら、約40人が参加した。
式ではまず、自転車利用マナー向上に努めている山崎製パン㈱京都工場に「自転車ヘルメット着用促進宣言事業所」へ認定書を交付。社員へのヘルメット着用促進を宣言するなどの条件を満たす同社の上田英雄・工場長室長に、酒井啓之・宇治署長が認定書を手渡した。上田工場長は「自分は大丈夫と思っている人がまだまだ多い。(ヘルメット)着用率アップに努めたい」と話した。
次に、宇治交通安全協会の堀井寛和会長が、町内在住の岡孝昭さん、辻村忠雄さん、高木優子さん、原口典子さんの4人にヘルメットを贈呈。4人は「車道では左側を通行します。歩道を通行する際は歩行者を優先します。交差点では信号と一時停止を守り、安全を確認します。夜間はライトを点灯します。飲酒運転は絶対にしません。ヘルメットを着用します」と自転車の安全利用を宣言した。
主催者挨拶では酒井署長が「自転車による事故が全体の約1割を占める」などと、最近の事故状況を紹介。「ヘルメットを着用していない人の死亡リスクは、着用している人の約2・5倍」というデータも示し、各団体に交通安全の呼び掛けに協力をお願いした。
堀井会長は、ヘルメット着用の重要性を強調したほか、「信号のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいても、関西では止まるドライバーが少ない。歩行者を優先する運転で模範となって」と、横断歩道で歩行者を守る運転を呼び掛けた。
式典後には、各団体員ら啓発活動を展開。店舗北側の府道や交差点では、「はんなり運転」などと記されたハンドプレートなどでドライバーに安全運転を呼び掛けたり、自転車通行者にはヘルメットの着用を勧めた。このほか希望者への自転車点検や、店舗の出入口付近では啓発グッズも配布した。
酒井署長は「コロナが減少傾向の反面、人流が増え人身・死亡事故ともに増加に転じている。自転車が関係する交通事故は去年と比べて倍増している。年間を通じて悲惨な事故が1件でも減るよう取り組みたい」と気を引き締めた。
なお最終日の20日は「交通事故死ゼロを目指す日」となっている。