宇治田原町奥山田の高野山真言宗「遍照院」で7日、ぼけ封じと健康祈願の焙烙(ほうろく)灸祈祷が営まれ、檀家ら約70人の熱気にあふれた。
神君徳川家康公を取り上げたNHK大河ドラマにちなむタイトルは「どうする焙烙」。
「笑いとお灸」を掲げ、桂塩鯛師匠をゲストに招いた落語会もあった。
日本史上またとない270年の長期政権となる江戸幕府を樹立した神君命懸けの逃避行の場となった宇治田原でも、道中に腰を掛けた石が鎮座する同院。
ひとときの休息で心を静めた―とされる境内には、樹齢450年以上という京都府名木百選の一つ「八重の紅梅」も見事な花を咲かせる。
西国霊場第十二番札所である岩間寺(いわまでら・滋賀県大津市)の先代・田居山主から秘伝は授けられた。
土用の丑に頭痛や夏バテ封じとして行われることで知られるが、同院では季節をずらして執り行うのがならわし。
杉山浩義住職の導きで本堂に入った参拝者たちは、高座にのぼった塩鯛師匠の軽妙な語りに酔いしれた。
住職とは、今年もリーグ優勝を果たしたオリックスファンつながりという師匠が「一期一会」を強調し、「私が最も得意とするのは〇〇語」とボケながら、中国・イタリア語・大阪・京都弁を織り交ぜた言い回しで笑いを誘った。
本題「夢の噺」では、夢の中身を問う妻や家主、奉行、天狗に責められる喜八の頭を抱える様子とオチに参拝者たちはお腹を抱えた。
そして、再び杉山住職が登場。
無病息災や疫病(コロナ)退散を願う御真言をみなで唱え、いよいよ御祈祷。
万病に効く「薬草の王」とされる枇杷(びわ)の葉を頭頂部に当て、その上に素焼きの浅鍋・炮烙(ほうろく)、そこに百会(ひゃくえ)というツボを温めるように、どっさりと「もぐさ」が乗せられると、静かに火をかざした。
熱いさかい、ハンカチを―と懇願する淑女も準備を整え、いざ着火。
想像以上に高い温度と炮烙の重さも苦行と見え、もぐさが燃え終わると「すっとした表情」になったみなさんが師匠のプレゼント抽選でさらに心弾ませた。