宇治田原町の山間部・高尾地区に伝わる小正月行事『縁たたき』が14日、古式にのっとり執り行われた。
これは当地・阿弥陀寺本堂に安置されている薬師如来像の御開帳日に合わせて年1回、行われているもので、寺の縁側に置かれた足場板に長さ約1㍍の青竹を力いっぱい叩き付け、次々と割っていく。
荒行を好んだという「お薬師さん」を喜ばせ、集落からの病魔退散を願ってもらおう―というのが事の起こりと伝えられており、今も女人禁制というのが習わし。
この日の午後1時、地元から植村良信区長、新弥寿彦総代会長をはじめ6人が集まり、境内では、本山である宝国寺の登田良樹住職が意念と呼ばれる無言の読経。約30分にわたって「ビシッ、バシ」という激しい音が山里に響き、終了を告げる鐘が鳴ると一層、大きな音で最後のひと割り。男衆にとっては手足も痛くなる『行』となった。
また、欠席の場合は、委任状の代わりに、お賽銭を包んだ和紙を出すのも習わし。これが〝数とり〟となり、出席者と合わせ世帯数に合うと儀式が始まる。
最後は先を割った木に、仏の使いと伝わる牛王と阿弥陀教寺の文字に法印がついた「お札」を挟んで授与。今年は9世帯の玄関先などに1年間奉られるという。